狙い
大橋貴洸の四間飛車は、四間飛車のいつもの形、つまり6八の飛車と6六の歩で角道を止めた形はそのままです。違うのは玉で、2八まで行かずに3八で止め、右の金を隣の4八に上げ、右の銀は3九に置いたままにします。大橋が挙げる利点は三つある、と ja.wikipedia は書いています。
1筋で端攻めをするときに玉が遠いこと、地下鉄飛車に組みやすいこと、相手の角筋から玉が外れていることです。居飛車穴熊に対しては、藤井システムのように囲わせない指し方ではなく、囲わせた上で端攻めで崩すことを目指します。玉は3八から動かさずに、局面に合わせて別の囲いへ組み替えていけます。
マイナビの編集者はこの戦法を「金無双+四間飛車」とまとめています。2020年の大橋の著書で広まり、大橋は2021年の将棋大賞で升田幸三賞を受けました。基本形そのものの手順を示した資料はなく、ここの手順はネット将棋のアマチュアの対局から、後手がこの戦法だと気づいた手までを並べたものです。
組み方
初形
一手ずつ進めるか、再生を押してください。
指し手をタップするとその局面に飛びます。盤を選ぶと矢印キーも使えます。
全手順と、その理由
| # | 先手 | 後手 | 狙い |
|---|---|---|---|
| 1 | ▲7六歩 7g7f | △3四歩 3c3d | 角道を開けます。 後手も角道を開けます。 |
| 3 | ▲6六歩 6g6f | △8四歩 8c8d | 6六の歩で角道を止めます。普通の四間飛車です。 後手は飛車先の歩を突きます。居飛車です。 |
| 5 | ▲6八飛 2h6h | △6二銀 7a6b | 飛車を6筋へ振ります。 後手の右の銀が6二へ。 |
| 7 | ▲7八銀 7i7h | △5四歩 5c5d | 左の銀は7八へ。この戦法ではここにとどまります。 後手は5筋の歩を突きます。 |
| 9 | ▲4八玉 5i4h | △4二玉 5a4b | 玉が右へ歩き始めます。 後手玉は同じ側の舟囲いを目指して4二へ。 |
| 11 | ▲3八玉 4h3h | △3二玉 4b3b | 3八で止まります。美濃囲いなら2八まで進むところです。 後手玉が3二に着きます。 |
| 13 | ▲1六歩 1g1f | △1四歩 1c1d | 玉の側の端歩です。のちに先手が攻める側です。 後手も端歩で応じます。 |
| 15 | ▲4八金 4i4h | 右の金が玉の隣に上がり、3九の銀はそのままです。これが形で、もとの対局で後手がこの戦法だと気づいた一手でもあります。 |
駒組みのあとの指し方
- ▲7六歩で角道を開け、▲6六歩で止め、飛車を6八へ振り、左の銀を7八に置きます。
- 玉を4八、3八と進め、そこで止めます。
- 端歩を1六に突き、右の金を4八に上げます。右の銀は3九のままです。
- 後手の△8五歩には、大橋の本の基本形のとおり▲7七角と上がります。
- 穴熊には囲わせてから1筋の端攻め。ほかの形に対しては、玉を動かさずに組める囲いを ja.wikipedia が挙げています。片矢倉(天野矢倉)、土居矢倉、右玉、地下鉄飛車、そして金無双です。
気をつけること
- 癖で2八まで玉を進めないこと。この戦法の要点は、玉が行かないマスにあります。
- 端です。大橋の一つ目の利点は、1筋で攻めるときに3八の玉が2八の美濃囲いの玉より遠いことです。一路遠いだけで、届かないわけではありません。
- 美濃囲いほど形が決まっていません。ja.wikipedia の組み替え先の一覧が長いのは、どれがよいかが後手の駒組みしだいだからです。
どんな相手に指すか
舟囲いか穴熊の居飛車です。大橋の本は、左美濃急戦やエルモ囲い急戦などの急戦と、居飛車穴熊、松尾流穴熊、左美濃、銀冠、銀冠穴熊に対する持久戦を扱っています。
藤井システムは穴熊が完成する前に攻めて対抗しますが、耀龍四間飛車は穴熊を組ませてから端を攻めます。
コンピュータ相手に指してみる。
アプリのコンピュータは、レベル9から12が四間飛車と矢倉の二つを定跡どおりに指し、Mino のレベルは人が指す序盤を指します。対局後の検討では、どの手で定跡を外れたかがわかります。まず手順を、次に狙いを試してください。