狙い
玉を元の位置に置いたままにしてはいけないと、初心者は必ず教わります。この戦法はそれを承知のうえでやります。一九九〇年代に藤井猛が居飛車穴熊への答えとして組み上げたもので、理屈は算数です。玉を隅に埋めるには九手か十手かかる。その手数を攻めに使えば、こちらが先に間に合う。最初の五手は四間飛車そのもので、そこから玉が動きません。端の歩は問いかけとして一気に伸ばし、桂は3gへ跳ね、最後の歩の一手が本命の仕掛けを用意します。相手が潜らずに普通に囲えば、こちらもいつもどおり玉を美濃に収めればよく、損はありません。
組み方
先手の指し手だけを並べてあります。対局ではなく組み方の手順なので、後手は動かしていません。一手ごとに後手が応じる形にすると、狙いの形が見えなくなるからです。手順はすべて実際のルールで動かして確かめてあり、盤面はルール上あり得る局面です。
初形
一手ずつ進めるか、再生を押してください。
指し手をタップするとその局面に飛びます。盤を選ぶと矢印キーも使えます。
全手順と、その理由
| # | 先手 | 狙い |
|---|---|---|
| 1 | ▲7六歩 7g7f | |
| 2 | ▲6六歩 6g6f | |
| 3 | ▲6八飛 2h6h | ここまでは四間飛車と一手も違いません。 |
| 4 | ▲7八銀 7i7h | |
| 5 | ▲6七銀 7h6g | 銀もいつもどおり。 |
| 6 | ▲1六歩 1g1f | そしてここから四間飛車ではなくなります。玉が動きません。 |
| 7 | ▲1五歩 1f1e | 端の歩を一気に伸ばします。端で応じれば、相手は潜るために使いたかった一手を使うことになります。 |
| 8 | ▲3六歩 3g3f | 桂の道。 |
| 9 | ▲3七桂 2i3g | 桂を3gへ。ここから4eと2eをにらみます。 |
| 10 | ▲4六歩 4g4f | そして本命は次の4e。玉はまだ元の位置です。 |
駒組みのあとの指し方
- 攻めがそのまま作戦です。歩を4eへ、桂を空いた地点へ、端はすでに伸びている。止まってしまえば、中央に玉が残って何も残りません。
- まず相手を見ること。これは穴熊への答えで、速く普通に囲う相手には、自分も囲うほうが単純に得です。
- ゆっくりした将棋になったら、あとから囲います。玉は4h、3hと歩いて美濃に入れます。銀と金をそのままにしてあるのはそのためです。
- 自分の手数ではなく、相手の手数を数えます。相手が安全になるのに十手、こちらが危険になるのに七手という読みに賭けた戦法です。
気をつけること
- 自分の玉です。5iにいて、中央を止めているのは歩だけ。中央で一度駒が換わるだけで終わることがあります。
- 角交換。囲いがないので、自陣を向いた持ち駒の角は、相手より自分に痛く響きます。
- 潜ってこない相手。舟囲いから速攻に来られると、居玉は名前のついたただの悪手です。
どんな相手に指すか
なにより居飛車穴熊です。この戦法はそのために生まれました。ほかの相手には囲うことです。
ボット相手に指してみる。
アプリのボットは定跡どおりに指します。対局後の検討では、どの手で定跡を外れたかがわかります。まず手順を、次に狙いを試してください。