学ぶ · 千日手と持将棋
千日手と持将棋。
将棋の対局はほとんどが詰みで終わります。取った駒が戻ってくるぶん、引き分けはチェスよりずっと少なくなります。それでも詰みでない終わり方が二つあり、そのうち一つは引き分けに見えて、招いた側の負けになります。
千日手 — 同じ局面が四回
千日手は、同一局面が四回現れると引き分けになる規則です。手番が同じで、双方の持ち駒まで同じであることが条件になります。公式戦では先後を入れ替えて指し直しになります。この規則がなければ千日かかっても終わらない、というのが名前の由来です。
チェスとは数え方が違います。三回ではなく四回で、しかも申し出は要りません。条件がそろった時点で引き分けです。持ち駒まで一致していなければならないので、片方が歩を一枚稼いでいる局面は同一局面になりません。
その四回が片方の連続王手によって生じたものなら、引き分けにはなりません。王手をかけ続けた側の負けです。チェスでは連続王手が負け局面を引き分けに持ち込む定番の手段ですから、ここはちょうど逆で、チェスから来た人がいちばん引っかかる規則でもあります。将棋では、劣勢の側が王手で逃げ切ることはできません。
この規則は、どちらが優勢かを見ません。見るのは、どちらが王手をかけているかだけです。駒得で大きく勝っている側が、勝ちを決めにいって連続王手を続ければ、その一局を落とします。
持将棋 — 詰まない玉が二枚
持将棋はもう一つの終わり方です。敵陣に入った玉はきわめて詰みにくくなります。ほとんどの駒が前にしか利かないからです。双方の玉が入玉して、どちらも詰ますことができなくなると、そこから何手指しても詰みは生まれません。
点数の数え方
指し続けずに、どちらかが宣言します。敵陣にある盤上の駒と持ち駒を合わせて、次のように数えます。
| 駒 | 点 |
|---|---|
| 飛車と角行(成っていても同じ) | 5 |
| 玉将を除くその他の駒 | 1 |
| 玉将 | 0 |
玉将を除く二十枚で合わせて五十四点ですから、互角なら二十七点ずつです。数え方は二通りあり、アプリはどちらにも対応しています。
- 二十七点法。プロ棋戦とほとんどのサーバーが使います。宣言した側は二十七点以上あれば勝ち、足りなければ負けです。引き分けがないので、レーティングのつく対局に向きます。
- 二十四点法。古くからのアマチュアの取り決めです。二十四点以上なら引き分けとし、指し直します。
宣言には点数以外の条件もあります。玉が敵陣にいること、玉以外に敵陣の駒が十枚以上あること、王手がかかっていないこと。条件を満たさない宣言はその場で負けになりますから、当てずっぽうで出す手ではありません。
対局ではどうなるか
- 負け将棋を王手で追いかけない。 チェスなら助かる手が、ここでは負けになります。連続王手しか続かないなら、その時点ですでに負けていて、続ければ負けを自分で確定させるだけです。
- 千日手は立派な結果です。 苦しいときに同一局面四回へ持ち込むのは、半分を拾う正当な指し方です。ただし、王手をかけているのが自分でないこと。
- 入玉は事故ではなく作戦です。 相手の駒が自陣に向いていないなら、玉を前に進めるのは知られた勝ち方で、動き出したあとに争うのは点数です。
- どちらもめったに起きません。 プロの対局で百局に一局か二局です。持ち駒があるぶん盤上の駒は減らず、駒が残っている将棋はたいてい詰みにたどり着きます。
アプリでは
どちらの規則も、一手ごとの合法手を判定しているのと同じエンジンが扱います。同一局面が四回で引き分け、その四回が片方の王手によるものならその側の負けです。持将棋は自分から出す宣言で、対局に設定された点数法で判定し、条件を満たさない宣言は指されずに拒否されます。
どちらの規則も、盤の上で判定されます。
千日手も持将棋も、一手ごとの合法手を見ているのと同じエンジンが判定します。終局が言い争いになることはありません。