終盤 · 速度計算
どちらが速いか。
負ける将棋の多くは、もう勝っている局面で受け、もう負けている局面で攻めて負けます。薬は算数です。自分は詰みまであと何手か、相手はあと何手か、手番はどちらか。この答えが、一つの手順も読む前に、指すべき手を教えます。
駒得ではなく手番
取った駒は打てるので、攻める側の弾は切れず、受ける側の壁も切れません。だから終盤は多く持っている側ではなく、先に着く側が勝ちます。飛車を一枚損していても一手早く詰ませば、飛車を「損したのに」勝ったのではありません。飛車は関係がなかったのです。
その競走の単位が詰めろです。放っておけば次に詰まされる局面。以下はすべて詰めろで数えます。
数え方
ある側の数とは、相手が手を抜き続けたとして、詰ますまでに必要な自分の手数です。「N手すき」と言います。
- いま詰みがある:〇。詰ます。
- 詰めろ(一手すき):一。あと一手あれば詰み。
- 二手すき:二。準備の一手、詰めろの一手、そして詰み。
- 以下同じ。三を超えると数は役に立たなくなり、まだ中盤です。
手順は、終盤の毎手これです。
- 相手の、自玉に対する数。〇なら、先に詰ませない限り何をしても詰まされる。一なら、先に詰ませない限り、この手で受ける。
- 自分の、相手玉に対する数。〇なら詰み。一なら詰めろがかけられる。
- 比べて、手番を思い出す。いまは自分の手番。自分の数が相手の数以下なら攻める。先に着く。自分の数が大きければ受ける。受けながら自分の数も減る手を、いちばん熱心に探す。
終盤の形勢判断は、この三行を正直に当てはめることの全部です。難しいのは算数ではなく、相手の攻めを自分の攻めと同じくらい甘く数えることです。
一つの局面、両方の数
先手番。どちらの竜も詰みまで二手、どちらも金を一枚持っていて、エンジンが両方の数を数えました。
- 先手の数は二。いま詰みはなく(エンジンが全手を調べました)、▲5二竜で次の▲3二金が詰めろになります。
- 後手の数は二。後手番だとしても詰みはなく、△4八竜と準備すれば△7八金が詰みです。
- 先手番。二は二より大きくないので、先手が攻めます。竜が5二へ。
競走を最後まで
一手ずつ進めるか、再生を押してください。
指し手をタップするとその局面に飛びます。盤を選ぶと矢印キーも使えます。
後手の正しい応手は受けでした。▲5二竜に対する本当の受けはちょうど四つで、△2二金、△3二金、△4二金、△4二竜。どれも後手の攻めに必要だった金か竜を使うので後手の数は増え、主導権は先手に残ります。
詰めろ逃れの詰めろ
将棋で最良の受けは、受けでありながら自分も詰めろになっている手です。詰めろ逃れの詰めろ。相手の数に応えながら一手で自分の数を下げるので二手分の価値があり、競走で遅れている側が最初に探す手です。上の四つの受けにそれはなく、どれも受けるだけです。
反対が、何も生まない王手です。上の局面で後手は△7八金と金を捨てて王手できますが、先手はただ取ります。
△7八金 ▲7八玉のあと、先手の詰めろは何も変わらず残り、後手は自分の数を二にしていた金を失いました。エンジンは詰めろが残っていることを確かめています。数を変えない王手は、相手にただの一手を渡す手です。
数を失う三つの道
- 王手のための王手。王手は追う手。逃げ場を消すか駒を近づけるかしない王手は、手番を返すだけです。
- 速いのに受ける。自分の数が小さく、自玉に詰めろがかかっていないなら、受けは無駄手で、相手の数だけが一つ減ります。
- 数え直さない。駒の取り合いは双方の持ち駒を変え、数も変えます。三手前の数は、別の局面の数です。
実戦で数える。
アプリは盤の両側で詰めろと必至が生じるたびに印をつけるので、一手ごとに数が変わるのが見えます。