詰みの形
詰みには形がある。
将棋の詰みは、そのほとんどが名前のついた数種類の形のどれかです。名前を覚えると、その形が現れる三手前から見えるようになります。ここに並べたのは、アプリが問題を解けたときに名前を示す十の形です。問題集にその形があればその問題で、なければこのページのために作った例題で示します。
以下はすべて攻方の手番、詰みまでです。詰将棋の約束どおり、盤上にない駒はすべて後手(玉方)の持ち駒とします。解答を開く前に、まず自分で解いてみてください。形が答えであり、答えが形です。
頭金
玉の頭に金を打つと、玉の逃げ場が残らず金の利きに入ります。誰もが最初に覚える詰み方で、実戦でいちばん多く出てくる詰み方でもあります。
玉の真上に自分の歩か駒があり、玉のそばに味方の駒がないときは、まずこの形を探してください。頭に打った金は玉の前の三マスと横の二マスを押さえ、金の後ろの駒がひもになって玉には取れません。実戦の攻めはたいていこの形で終わります。先に玉の頭へ歩を打ち(頭の歩)、その歩がどいたマスに金を打つ形がよく出ます。
問題 1手詰。 解答
▲G*4b
解答
一手ずつ進めるか、再生を押してください。
指し手をタップするとその局面に飛びます。盤を選ぶと矢印キーも使えます。
腹金
同じ金を、今度は横から打ちます。玉が端や自分の駒に押さえつけられているときに決まります。
腹金は頭金を横に倒した形です。端にいる玉や、後ろに自分の駒がある玉は、金の利いていないマスをそもそも使えません。ですから横に打った金一枚で足ります。一段目を横へ逃げた玉を仕留める、いちばん普通の形です。
問題 1手詰。 解答
▲G*2b
解答
一手ずつ進めるか、再生を押してください。
指し手をタップするとその局面に飛びます。盤を選ぶと矢印キーも使えます。
尻金
玉の後ろに金を打って、退路を断ちます。ほかの二つより出番は少なく、前ばかり見ていると見落とす形です。
後ろから打った金が玉の引き場所を消し、残りは前にある攻め駒が押さえます。玉が囲いを出て前に進んでおり、味方の駒がまだ後ろに残っているときに現れます。玉の前のマスだけを見ていると、この形は見えません。
問題 1手詰。 解答
▲G*1a
解答
一手ずつ進めるか、再生を押してください。
指し手をタップするとその局面に飛びます。盤を選ぶと矢印キーも使えます。
肩銀
玉の斜め前に、ひもの付いた銀を打ちます。王手をかけながらその側の玉の横のマスを押さえ、残りのマスはほかの駒が受け持ちます。
コビンは玉の斜め前のマスです。そこに打った銀は前の斜めから王手をかけ、同じ側の玉の横のマスも押さえます。玉の頭は空いたままなので、頭をほかの駒が押さえているか、玉方の駒で埋まっているときに決まります。玉の真横や真下に打つ銀は王手にならないので、その名前のついた腹銀と尻銀は、寄せの手にはなっても詰めの一手にはなりません。
問題 1手詰。 解答
▲S*1b
解答
一手ずつ進めるか、再生を押してください。
指し手をタップするとその局面に飛びます。盤を選ぶと矢印キーも使えます。
一間竜
竜が玉と一直線に並び、間が一マス空いている形です。そこへ打った合駒は動けなくなり、玉の周りのマスは安全ではなくなります。
一間離した竜は、終盤でいちばん役に立つ形です。間に打った合駒は玉に串刺しにされて動けず、玉は竜のほうへ寄れず、竜は自分の筋と段を全部押さえています。金か銀が一枚あれば、たいていそのまま詰みます。このページから一つだけ覚えるなら、この形です。
問題 7手詰。 解答
▲S*2d △K-1d ▲S*1e △K-2e ▲+R-3e △K-1f ▲+R-2f
解答
一手ずつ進めるか、再生を押してください。
指し手をタップするとその局面に飛びます。盤を選ぶと矢印キーも使えます。
送りの手筋
玉のそばに、取られると分かっている駒を捨てます。玉はそれを取ることで一マス竜のほうへ動かされ、詰ますための形に入ります。
送りとは、玉を目当ての場所へ送り込むという意味です。玉が取らざるを得ない駒をそばに打ち、その一手で玉を詰みの成立するマス、多くは竜の利きの上へ移します。捨て駒に見えて、中身は相手の玉をこちらが動かす手です。
問題 5手詰。 解答
▲S*2c △Kx2c ▲G*1c △K-2d ▲G-1d
解答
一手ずつ進めるか、再生を押してください。
指し手をタップするとその局面に飛びます。盤を選ぶと矢印キーも使えます。
退路封鎖
玉の逃げ道に駒をただで捨て、玉以外の駒に取らせます。取った駒が玉の逃げ道をふさぎ、続く詰みはその駒がそこにいることで成立します。
退路封鎖は、玉の退路をふさぐという意味です。玉が逃げ込むはずのマスに駒をただ捨てし、玉以外の駒に取らせます。すると玉方の駒が自分の玉の逃げ道に居座り、一手前にはなかった詰みが生まれます。確かめ方は詰み上がりの局面で、ふさいでいる駒を盤から取り除けば玉が逃げられる、というのがこの形です。玉が取って動かされる送りの手筋と違い、こちらは玉以外の駒が取り、玉は壁に閉じ込められます。
問題 3手詰。 解答
▲G*1b △Lx1b ▲S*2b
解答
一手ずつ進めるか、再生を押してください。
指し手をタップするとその局面に飛びます。盤を選ぶと矢印キーも使えます。
金の頭に桂
守りの金の頭に桂を打つ手筋です。金は桂を取れますが、取れば持ち場を離れます。桂の利きは金の斜め後ろの二マス、金の唯一の死角に届き、そこにはたいてい玉がいます。
金は斜め後ろへ引けないので、周りのマスのうち斜め後ろの二つだけは金の利きがありません。頭に打った桂は、ちょうどその二マスに利きます。取れば金が玉のそばを離れ、放っておけば桂が跳び込みます。金頭の桂に受け手なし、という格言のとおりです。
問題 3手詰。 解答
▲N*3c △K-3a ▲G*4a
解答
一手ずつ進めるか、再生を押してください。
指し手をタップするとその局面に飛びます。盤を選ぶと矢印キーも使えます。
雪隠詰め
盤の隅に追い込まれた玉が、自分の駒に逃げ道を塞がれ、受けのない王手一つで詰む形です。王手をかけるのは合駒の利かない桂であることが多く、チェスのスマザードメイトによく似ています。
雪隠はかわやのことで、盤でいちばん狭い部屋に玉を閉じ込める詰みです。穴熊のような隅の囲いで起こりやすく、玉を守っていた金銀がそのまま壁になります。隅の玉の周りには三マスしかないので、そこを自分の駒が塞いでいれば、桂や歩の王手一つで詰むことがよくあります。
問題 1手詰。 解答
▲N*2c
解答
一手ずつ進めるか、再生を押してください。
指し手をタップするとその局面に飛びます。盤を選ぶと矢印キーも使えます。
吊るし桂
桂で詰ます形です。桂は玉の二つ前、一つ横から王手をかけ、間の駒を跳び越えるので合駒が利きません。桂を取れる駒がなく、玉の周りのマスがすでに押さえられていれば詰みです。
吊るし桂は、桂で詰ますこと全般を指す言葉です。桂の王手には合駒が利かないので、受けは桂を取るか玉が動くかしかありません。桂の打ち場所に玉方の利きがなく、玉の周りが玉方の駒で埋まっているか攻め駒に押さえられているときに探してください。上の雪隠詰めも、その一つの形です。
問題 1手詰。 解答
▲N*2c
解答
一手ずつ進めるか、再生を押してください。
指し手をタップするとその局面に飛びます。盤を選ぶと矢印キーも使えます。
どう使うか
- 逃げ道を数える。玉の逃げ場は多くて八マスです。ここに並べた形はどれも、二枚か三枚でその八マスを消す方法にほかなりません。空いているマスが三つ以下の玉を見たら、ちょうどそこを消す形を探してください。
- 決めるのはたいてい金。十のうち五つは、金の六方向の利きがそのまま詰め手になります。残りの五つは銀、桂、竜が決め、ほかの駒は逃げ場を消すか、玉を詰む場所へ引っ張り出す役です。
- 今日の詰将棋がその練習です。アプリの短い問題は、たいていここに並べた形か、二つの組み合わせで終わります。解けたときには、アプリがその形の名前を教えます。
形を身につける。
アプリの問題には、棋力に合わせた実戦形の詰みに加えて、今日の詰将棋と、一手詰から順に上がっていく階段があります。解けたときには、その形の名前も出ます。