居玉は避けよいぎょくはさけよ
初形のまま動いていない玉は、盤の真ん中にいる玉です。片側に飛車がいて、反対側には何もありません。近くに打たれる駒は、その一枚一枚が狙いになります。攻める前に、一手でもいいので動かしてください。三手動かして銀を一枚つければ、それでもう囲いです。
格言
将棋には格言があります。短く、少しおかしくて、そしてよく当たります。どれも一局の考え方を一行に縮めたものです。ここでは二十三をテーマごとに分け、意味のわかる局面を添えて並べました。
玉 居玉は避けよ · 玉の早逃げ八手の得 · 玉は包むように寄せよ · 王手は追う手 · 端玉には端歩 · 玉飛接近すべからず
歩 一歩千金 · 金底の歩、岩より堅し · 三歩持ったら継ぎ歩に垂れ歩 · 歩のない将棋は負け将棋 · と金は金と同じで金以上
そのほかの駒 香は下段から打て · 桂の高跳び歩の餌食 · 銀は千鳥に使え · 玉の腹から銀を打て · 龍は敵陣に、馬は自陣に · 大駒は離して打て
攻めと受け 攻めは飛車角銀桂 · 守りは金銀三枚 · 終盤は駒の損得より速度 · 二枚替えなら歩ともせよ · 敵の打ちたいところに打て · 寄せは俗手で
格言の半分は玉の居場所の話です。負けの半分がそこで決まるからです。
初形のまま動いていない玉は、盤の真ん中にいる玉です。片側に飛車がいて、反対側には何もありません。近くに打たれる駒は、その一枚一枚が狙いになります。攻める前に、一手でもいいので動かしてください。三手動かして銀を一枚つければ、それでもう囲いです。
攻めが来るとわかったら、王手がかかる前に玉を攻めの筋から外しておく。あとから駒を打って受けるより、そのほうがずっと得です。八手というのは物のたとえで、早く逃げた玉は相手の攻めをまとめて空振りにする、という意味です。
王手で追いかけない。玉の逃げ道を、遠いほうから順に消してから寄せます。行き場のない玉は金一枚で詰みますが、盤上を追い回された玉はいつまでも詰みません。
一つ前の格言と対になります。詰みにつながらない王手は、たいてい相手を助けます。玉はより安全なマスへ移り、こちらは一手損をする。王手をかける前に、そのあと玉がどうなるかを考えてください。逃げられるだけなら、代わりに静かな一手を探します。
隅や端の筋に寄った玉の逃げ道は、端しかありません。端歩を突く、あるいは端に歩を打つ。それだけでそのマスが消え、玉の隣の香や桂も動かざるを得なくなることが多い。穴熊崩しはここから始まります。
玉の隣の飛車は、的であり壁でもあります。王手飛車は、飛車を失う一番よくある形です。振り飛車という指し方があるのは、玉と飛車を盤の反対側に分けるためでもあります。
九枚あって、一枚の価値はほとんどなくて、それでも勝敗はその使い方で決まります。
持ち駒の歩は、安いからこそ、攻めにも受けにも、おびき出しにも捨て駒にも使えます。ほかの駒では代わりになりません。中盤で歩切れにならないこと。飛車先の歩を早めに交換しておくのは、持ち駒に一歩を置いておくためでもあります。
自陣の最下段に相手の飛車や龍が回り込んだとき、金の真下に歩を打てば、それだけで止まります。歩は金に守られ、龍は横に通れず、取れば取ったほうが損をする。将棋で一番安い受けです。
歩の手筋が二つ、一行に入っています。まず歩を突いて交換し、次に継ぎ歩を打って相手の歩を前に釣り出し、最後に成りの一つ手前へ垂れ歩を打つ。次の手でと金になります。持ち駒の歩三枚は、それだけで攻めになります。
同じことを裏から言った格言です。歩切れになると、たたくことも、合駒で止めることも、垂らすこともできません。攻めはすべて、渡せば損になる駒でやるしかなくなります。駒を交換する前に、まず双方の持ち駒を見てください。
動きは金とまったく同じで、取られても相手に渡るのは歩一枚です。だから金では捨てられない場面でも、と金なら捨てられます。空いた筋をと金がじりじり寄っていく攻めは、将棋で一番遅く、そして一番受けにくい攻めの一つです。
どの駒にも使い方の格言があり、その多くは控えることについての格言です。
香は前に何マスでも利く駒ですから、打つときは局面が許すかぎり後ろから打ちます。そうすれば筋の半分ではなく一本まるごと押さえられますし、狙った駒からも遠く、簡単には手を出されません。受けでも同じで、自陣の最下段、玉の後ろに打った香は壁になります。
桂は戻れません。後ろ盾のないまま敵陣へ跳ねた桂は、歩を突かれてそれで終わりです。対になる格言は「桂は控えて打て」です。跳ねたい位置の一段手前に打っておき、時が来たら跳ねる、という打ち方です。
千鳥は左右に振れながら走ります。銀も同じで、斜めに一つ、次は反対の斜めに一つと使います。横には行けませんから、まっすぐ出た銀はすぐ動けなくなります。ジグザグに使えば、引く道が残ります。
玉の横に打った銀は、その斜め前と斜め後ろを押さえます。玉が滑り出るのは、ちょうどそのマスです。後ろから紐をつけておけば、囲った玉を詰ますときの入り口になります。
龍は敵陣の中から下段を切って攻めるのが一番よく働きます。馬は八方へ一つずつ動けるので、自玉の近くに置けば将棋で最強の受け駒です。成った角は自陣へ引き戻してください。
持ち駒の飛車や角は、狙う駒から離して打ちます。近くに打てば歩で追われて働きません。盤の反対側から相手の囲いをにらむ遠見の角が、その典型です。
どれだけ使うか、どこに使うか。
攻め駒は、走る二枚と、戻る道のないまま前へ出る二枚です。金は自陣に残します。この四枚のうち三枚が盤の一か所に集まれば、攻めはたいてい足ります。飛車一枚だけの攻めでは足りません。
玉のまわりに金二枚と銀一枚、あるいは金一枚と銀二枚。囲いのページに並んでいる囲いは、どれもこの形です。三枚が互いに紐をつけ合うように並んでいます。四枚目を守りに使えば、攻めが一枚足りません。
両方の玉に手がかかり始めたら、問題はどちらが多く持っているかではなく、どちらが先に詰ますかです。一手早くなって詰むのなら、飛車も捨てます。終盤で駒の損得を数えているうちに、勝ちの将棋を落とすのです。
一枚と二枚の交換、たとえば飛車を銀と桂の二枚に替えるのは、ほとんどの場合は得です。持ち駒が二枚あれば、打てる手も二回あるからです。格言はわざと大げさに言っています。駒は重さより枚数だ、ということです。
相手が打ちたいマスは、こちらにとってもいいマスです。打てばそのマスが消えますし、たいていは向きが逆になるだけで同じ働きをします。打つ場所を決める前に、相手の手番だったらどこへ打つかを考えてください。
寄せでは、頭金、頭の歩、見えている駒を取る手、そういう平凡な手がたいてい正解です。妙手は詰将棋の中にあれば十分で、実戦では、運に任せる部分が残らないぶん俗手が勝ちます。
格言は決まりではなく、初期設定です。どれも外れるより当たるほうが多い。読み切れないときに要るのは、まさにそれです。格言どおりに指しておいて、二つの格言が食い違う局面に考える時間を使う。強くなるというのは、だいたいこの作業のことです。
アプリの感想戦は、勝負の分かれた一手を指し示して、その理由を普通の言葉で説明します。その理由は、たいていこの中のどれかです。