終盤 · 必至
必至。受けのない脅し。
将棋の勝負は、詰みの一手前、受ける側の応手が尽きたところで決まります。その局面を必至と呼びます。英語では brinkmate。どんな攻めも実際の目標はここです。詰みまで読む必要はなく、どの応手にも詰みがあると読めばよく、そのほうが短い読みで済みます。
詰めろ、必至、詰み
三つの言葉は、次の一手についての三つの違う主張です。
- 詰めろ:玉方が何もしなければ次に詰む。一つの応手、つまり手抜きについての主張です。たいてい受かります。
- 必至:受からない詰めろ。すべての応手についての主張です。玉方が先に詰まさない限り、勝負は終わっています。
- 詰み:応手がまったくない王手。
基本の形、二つ
どちらも考え方は同じです。王手でない手で玉の逃げ場を消し、次の詰め手を受けられなくします。それぞれの図の下に、エンジンが玉方の合法手を全部並べ、それぞれを咎める詰み手順を付けてあります。開いてみてください。「受けなし」とはこういうことです。
縛り
3三の銀は王手ではありません。2二、3二、4二を消し、竜はすでに5筋を押さえています。玉に残るのは2一と4一で、次に3二へ金を打てば両方に利きます。後手が何を打っても間に合いません。4二に金を打てば竜の横利きが止まって二手稼げますが、竜は一段目へ回るだけです。
すべての受け (80)
合法手80手のすべてと、それぞれに対してエンジンが見つけた詰み手順。打つ手はマス順に並んでいます。
| 後手の応手 | 先手の詰み |
| △4一玉 | ▲3二金 |
| △2一玉 | ▲2二金 |
| △1一金 | ▲5一竜 |
| △1二金 | ▲5一竜 |
| △1三金 | ▲5一竜 |
| △1四金 | ▲5一竜 |
| △1五金 | ▲5一竜 |
| △1六金 | ▲5一竜 |
| △1七金 | ▲5一竜 |
| △1八金 | ▲5一竜 |
| △1九金 | ▲5一竜 |
| △2一金 | ▲5一竜 |
| △2二金 | ▲5一竜 |
| △2三金 | ▲5一竜 |
| △2四金 | ▲5一竜 |
| △2五金 | ▲5一竜 |
| △2六金 | ▲5一竜 |
| △2七金 | ▲5一竜 |
| △2八金 | ▲5一竜 |
| △2九金 | ▲5一竜 |
| △3二金 | ▲5一竜 |
| △3四金 | ▲5一竜 |
| △3五金 | ▲5一竜 |
| △3六金 | ▲5一竜 |
| △3七金 | ▲5一竜 |
| △3八金 | ▲5一竜 |
| △3九金 | ▲5一竜 |
| △4一金 | ▲2二金 |
| △4二金 | ▲5一竜 △4一金 ▲2二金 |
| △4三金 | ▲5一竜 |
| △4四金 | ▲5一竜 |
| △4五金 | ▲5一竜 |
| △4六金 | ▲5一竜 |
| △4七金 | ▲5一竜 |
| △4八金 | ▲5一竜 |
| △4九金 | ▲5一竜 |
| △5一金 | ▲5一竜 |
| △5二金 | ▲3二金 |
| △5三金 | ▲3二金 |
| △5四金 | ▲3二金 |
| △5六金 | ▲5一竜 |
| △5七金 | ▲5一竜 |
| △5八金 | ▲5一竜 |
| △5九金 | ▲5一竜 |
| △6一金 | ▲3二金 |
| △6二金 | ▲5一竜 |
| △6三金 | ▲5一竜 |
| △6四金 | ▲5一竜 |
| △6五金 | ▲5一竜 |
| △6六金 | ▲5一竜 |
| △6七金 | ▲5一竜 |
| △6八金 | ▲5一竜 |
| △6九金 | ▲5一竜 |
| △7一金 | ▲5一竜 |
| △7二金 | ▲5一竜 |
| △7三金 | ▲5一竜 |
| △7四金 | ▲5一竜 |
| △7五金 | ▲5一竜 |
| △7六金 | ▲5一竜 |
| △7七金 | ▲5一竜 |
| △7八金 | ▲5一竜 |
| △7九金 | ▲5一竜 |
| △8一金 | ▲5一竜 |
| △8二金 | ▲5一竜 |
| △8三金 | ▲5一竜 |
| △8四金 | ▲5一竜 |
| △8五金 | ▲5一竜 |
| △8六金 | ▲5一竜 |
| △8七金 | ▲5一竜 |
| △8八金 | ▲5一竜 |
| △8九金 | ▲5一竜 |
| △9一金 | ▲5一竜 |
| △9二金 | ▲5一竜 |
| △9三金 | ▲5一竜 |
| △9四金 | ▲5一竜 |
| △9五金 | ▲5一竜 |
| △9六金 | ▲5一竜 |
| △9七金 | ▲5一竜 |
| △9八金 | ▲5一竜 |
| △9九金 | ▲5一竜 |
一手ずつ進めるか、再生を押してください。
指し手をタップするとその局面に飛びます。盤を選ぶと矢印キーも使えます。
二枚の金
一枚目の金が銀の仕事をします。3三の金は王手ではなく、2二・3二・4二を押さえ、二枚目の金が玉の頭に落ちるときにその紐になります。竜が四段目にいるので玉は前に出られず、残る逃げ場は先ほどと同じ二つです。実戦の終わり方はたいていこれで、一枚の金が準備し、もう一枚が決めます。
すべての受け (80)
合法手80手のすべてと、それぞれに対してエンジンが見つけた詰み手順。打つ手はマス順に並んでいます。
| 後手の応手 | 先手の詰み |
| △4一玉 | ▲4二金打 |
| △2一玉 | ▲2二金打 |
| △1一金 | ▲6一竜 |
| △1二金 | ▲6一竜 |
| △1三金 | ▲6一竜 |
| △1四金 | ▲6一竜 |
| △1五金 | ▲6一竜 |
| △1六金 | ▲6一竜 |
| △1七金 | ▲6一竜 |
| △1八金 | ▲6一竜 |
| △1九金 | ▲6一竜 |
| △2一金 | ▲6一竜 |
| △2二金 | ▲6一竜 |
| △2三金 | ▲6一竜 |
| △2四金 | ▲6一竜 |
| △2五金 | ▲6一竜 |
| △2六金 | ▲6一竜 |
| △2七金 | ▲6一竜 |
| △2八金 | ▲6一竜 |
| △2九金 | ▲6一竜 |
| △3二金 | ▲6一竜 |
| △3四金 | ▲6一竜 |
| △3五金 | ▲6一竜 |
| △3六金 | ▲6一竜 |
| △3七金 | ▲6一竜 |
| △3八金 | ▲6一竜 |
| △3九金 | ▲6一竜 |
| △4一金 | ▲2二金打 |
| △4二金 | ▲6一竜 △4一金 ▲2二金打 |
| △4三金 | ▲6一竜 |
| △4四金 | ▲6一竜 |
| △4五金 | ▲6一竜 |
| △4六金 | ▲6一竜 |
| △4七金 | ▲6一竜 |
| △4八金 | ▲6一竜 |
| △4九金 | ▲6一竜 |
| △5一金 | ▲3二金打 |
| △5二金 | ▲3二金打 |
| △5三金 | ▲6一竜 |
| △5四金 | ▲6一竜 |
| △5五金 | ▲6一竜 |
| △5六金 | ▲6一竜 |
| △5七金 | ▲6一竜 |
| △5八金 | ▲6一竜 |
| △5九金 | ▲6一竜 |
| △6一金 | ▲6一竜 |
| △6二金 | ▲3二金打 |
| △6三金 | ▲3二金打 |
| △6五金 | ▲6一竜 |
| △6六金 | ▲6一竜 |
| △6七金 | ▲6一竜 |
| △6八金 | ▲6一竜 |
| △6九金 | ▲6一竜 |
| △7一金 | ▲3二金打 |
| △7二金 | ▲6一竜 |
| △7三金 | ▲6一竜 |
| △7四金 | ▲6一竜 |
| △7五金 | ▲6一竜 |
| △7六金 | ▲6一竜 |
| △7七金 | ▲6一竜 |
| △7八金 | ▲6一竜 |
| △7九金 | ▲6一竜 |
| △8一金 | ▲6一竜 |
| △8二金 | ▲6一竜 |
| △8三金 | ▲6一竜 |
| △8四金 | ▲6一竜 |
| △8五金 | ▲6一竜 |
| △8六金 | ▲6一竜 |
| △8七金 | ▲6一竜 |
| △8八金 | ▲6一竜 |
| △8九金 | ▲6一竜 |
| △9一金 | ▲6一竜 |
| △9二金 | ▲6一竜 |
| △9三金 | ▲6一竜 |
| △9四金 | ▲6一竜 |
| △9五金 | ▲6一竜 |
| △9六金 | ▲6一竜 |
| △9七金 | ▲6一竜 |
| △9八金 | ▲6一竜 |
| △9九金 | ▲6一竜 |
一手ずつ進めるか、再生を押してください。
指し手をタップするとその局面に飛びます。盤を選ぶと矢印キーも使えます。
詰めろはどう受けるか
上の局面がただの詰めろであるとき、玉方の手は四種類です。この四つを知っていると、盤の前で詰めろと必至を見分けられます。四つを順に試して、どれも効かなければ必至です。
- 玉を逃がす。ただし隅へではなく。玉は攻め駒から離れる方向、広い側へ逃げよ、という格言があり、隅へ入った玉は詰めろを必至に変えてしまいます。
- 受け駒を打つ。詰め手のマスそのものか、詰め駒に紐をつける駒の利きの上に。上の対照図では受けはどれも金打ちで、3二を埋めるか、竜と3二の間を切っています。
- 攻め駒を除く。詰め手になる駒か、その紐になっている駒を取ります。竜を取れる玉方は、ほかに何も数えなくてよい。
- 脅し返す。受けであって同時に詰めろである手は二手分の価値があり、受けになっていない詰めろは何の価値もありません。良いほうには名前があります。詰めろ逃れの詰めろ。速度計算のページで扱います。
必至とは、この四つが全部失敗する局面です。上の表は、その四つを機械が漏れなく試したものです。
自玉
必至が勝ちになるのは、相手が先にこちらを詰ませられないときだけです。必至問題では攻方の玉が盤上にないのでこの問いは生じませんが、実戦ではこれがすべてです。必至をかける王手でない一手を指す前に、相手の盤上の駒と持ち駒を見ながら自玉を確かめ、Z、つまり相手の王手では崩れない形かどうかを問います。
Zでないときに起きることに、二つ名前があります。部分的な必至は、王手を除くすべての応手に対して必至になっている局面。事実上の必至は、玉方に王手はあるものの、それが尽きても何も変わらない局面です。最後の王手のあと、同じ駒で再び必至になっています。
どちらも実戦にはよく出て、どちらも問題集には出ません。詰将棋の名手が終盤で負けることがあるのはそのためで、本は一度も自玉を振り返らせなかったのです。
練習の仕方
日本には必至問題集がいくつもあり、約束はいつもこのページと同じです。攻方の玉はなく、玉方は盤上にない駒をすべて持ち、答えは王手でない一手で、そのあとどう受けても詰みます。英語圏にはほとんどなく、探すための二つの言葉、hisshi と brinkmate が、このページを組んでいる二つの言葉です。アプリの問題には実戦から取った棋力に合った必至が入っていて、エンジンは一手指すごとに、それが詰めろか必至かを教えます。違いを見る目は、その繰り返しでいちばん速く育ちます。
必至を見つける。
アプリは、対局でも問題でも、詰めろや必至を指した瞬間にその名前を示します。このページで扱った違いを、起きるたびに見せてくれます。