狙い
矢倉3七銀は、相矢倉で先手が組む攻撃態勢です。二十四手組が終わるとすぐ、玉を囲う前に右の銀を3七へ上げます(矢倉のページの手順は、双方が先に玉を囲ってから別の手順で同じ銀に至って終わります)。ja.wikipedia は相矢倉の主流の一つとし、森下卓の説として、灘蓮照が昭和40年代に考えた灘流矢倉が源流だとしています。
3七の銀には三つの行き先があります。3筋の歩を角で交換する、棒銀として2筋を上がる、3七に跳ねた桂と並んで4六に出る、の三つです。後手の代表的な応手は△6四角で、斜めに3七の銀とその奥の飛車をにらみ、▲3五歩をひとまず防ぎます。そこで先手は角を6八に引いて玉を囲い、4六銀・3七桂型に組みます。
この手順では飛車も3筋の歩の後ろの3八に回し、▲3五歩と仕掛け、▲2五桂と跳ね、3三への歩打ちと端攻めで決めます。初手からの手順は2004年の一つの資料によるもので、四十六手目の局面を先手の理想形としています。
ja.wikipedia によると、のちの後手の受けはこの理想形を防ぐためのもので、2015年ごろから先手はこの形を避けるようになりました。
組み方
双方の指し手を並べてあります。この戦法は片方だけで組める形ではなく、相手がそう応じて初めて成立する戦型なので、先手の手だけを並べても手順としては嘘になります。
一手ずつ進めるか、再生を押してください。
指し手をタップするとその局面に飛びます。盤を選ぶと矢印キーも使えます。
全手順と、その理由
| # | 先手 | 後手 | 狙い |
|---|---|---|---|
| 1 | ▲7六歩 7g7f | △8四歩 8c8d | 角道を開けます。 後手は飛車先の歩を突きます。居飛車です。 |
| 3 | ▲6八銀 7i6h | △3四歩 3c3d | 左の銀を6八へ。 後手も角道を開けます。 |
| 5 | ▲6六歩 6g6f | △6二銀 7a6b | ▲6六歩で角道を止めます。矢倉です。 |
| 7 | ▲5六歩 5g5f | △5四歩 5c5d | 5筋の歩を突きます。 |
| 9 | ▲4八銀 3i4h | △4二銀 3a4b | 右の銀を4八へ。 |
| 11 | ▲5八金右 4i5h | △3二金 4a3b | 右の金を5八へ。 |
| 13 | ▲7八金 6i7h | △4一玉 5a4a | 左の金を7八へ。 |
| 15 | ▲6九玉 5i6i | △5二金 6a5b | 玉を6九へ。 |
| 17 | ▲6七金右 5h6g | △3三銀 4b3c | 5八の金を6七へ。 後手は△3三銀で角道を止めます。 |
| 19 | ▲7七銀 6h7g | △7四歩 7c7d | 銀を7七へ。 |
| 21 | ▲7九角 8h7i | △3一角 2b3a | 角を7九に引き、玉のために8八を空けます。 後手も同じく△3一角。 |
| 23 | ▲3六歩 3g3f | △4四歩 4c4d | ▲3六歩で銀の通り道を作ります。 後手の△4四歩で二十四手組が終わります。 |
| 25 | ▲3七銀 4h3g | △6四角 3a6d | ▲3七銀。玉を囲う前に右の銀を上げます。飛車先の歩はまだ2七のままです。 後手の代表的な応手、△6四角。斜めに3七の銀をにらみます。ここで▲3五歩と突くと、3五で交換したあと△3六歩と銀に当てられます。 |
| 27 | ▲6八角 7i6h | △4三金右 5b4c | そこで▲6八角と引き、先に玉を囲います。 後手は金を4三へ。 |
| 29 | ▲7九玉 6i7i | △3一玉 4a3a | 玉を7九へ。 後手の玉は3一へ。 |
| 31 | ▲8八玉 7i8h | △2二玉 3a2b | ▲8八玉で金矢倉の完成です。 後手の玉が2二に入ります。 |
| 33 | ▲4六銀 3g4f | △8五歩 8d8e | 銀を4六に出ます。 後手は飛車先の歩を8五まで伸ばします。 |
| 35 | ▲3七桂 2i3g | △5三銀 6b5c | 銀の後ろに▲3七桂。4六銀・3七桂型です。 後手の銀は5三へ。 |
| 37 | ▲1六歩 1g1f | △7三角 6d7c | 端歩を1六へ。 後手の角は7三へ。 |
| 39 | ▲1五歩 1f1e | △9四歩 9c9d | さらに1五まで。 後手は9筋の歩を突きます。 |
| 41 | ▲9六歩 9g9f | △6四歩 6c6d | 先手も9筋の歩を突きます。 後手は6筋の歩を突きます。 |
| 43 | ▲2六歩 2g2f | △8四角 7c8d | 飛車先の歩を2六へ。 後手の角が8四に着きます。これで四手目です。 |
| 45 | ▲3八飛 2h3h | △7三桂 8a7c | 飛車を3筋の歩の後ろの3八へ。 後手は桂を7三へ。資料はこの局面を先手の理想形としています。 |
| 47 | ▲3五歩 3f3e | △同歩 3d3e | ▲3五歩と仕掛けます。 後手が取ります。 |
| 49 | ▲2五桂 3g2e | △2四銀 3c2d | ▲2五桂と跳ねます。 後手は銀を2四に上げて桂に当てます。 |
| 51 | ▲3五銀 4f3e | △同銀 2d3e | 銀を3五に出ます。 後手の銀が取ります。 |
| 53 | ▲同角 6h3e | △3四歩 P*3d | 角で取り返します。 後手は3四に歩を打ちます。 |
| 55 | ▲6八角 3e6h | △6五歩 6d6e | 角を6八に戻します。 後手は△6五歩。 |
| 57 | ▲3三歩 P*3c | △同桂 2a3c | ▲3三歩と打ち、桂を呼び寄せます。 後手は桂で取ります。 |
| 59 | ▲1三桂成 2e1c+ | △同香 1a1c | 2五の桂を1三に成り捨てます。 後手は香で取ります。 |
| 61 | ▲1四歩 1e1d | △同香 1c1d | ▲1四歩。 後手はまた香で取ります。 |
| 63 | ▲同香 1i1d | 香で取り返します。資料は先手勝勢としています。 |
駒組みのあとの指し方
- 飛車先の歩を突かずに二十四手組を進め、▲3六歩から▲3七銀。
- △6四角には、まだ▲3五歩と突かず、▲6八角と引いて玉を8八に囲います。
- 銀を4六、桂を3七に。端歩を1五まで伸ばし、飛車を3八へ。
- ▲3五歩と仕掛け、△同歩には▲2五桂と跳ねて3五で銀を交換します。
- ▲3三歩で桂を呼び寄せてから、▲1三桂成、▲1四歩と端を攻めます。
気をつけること
- 早すぎる▲3五歩。後手の角が6四にいると、3五で交換したあと△3六歩と銀に歩を打たれます。その銀はもう角ににらまれていて、奥には飛車もいます。
- 端。攻める前に端歩を1五まで伸ばしておきます。そうすれば2五の桂を1三に捨てられます。
- 理想形は後手の研究の的です。ja.wikipedia によると、後手は角を7三に置いたまま銀に△4五歩と当てる受けを編み出し、2015年ごろから先手は別の作戦を選ぶことが多くなりました。
どんな相手に指すか
▲3七銀に対する後手の代表的な応手は△6四角で、そのあと玉を2二に入れた矢倉に組みます。この手順で後手は角を7三、8四と動かし、△7三桂を加えるので、先手は理想形に組めます。
のちの受けには、早めの△2四銀、角を7三に置いて銀に△4五歩と当てる形、△9五歩からの端の反撃があります。
コンピュータ相手に指してみる。
アプリのコンピュータは、レベル9から12が四間飛車と矢倉の二つを定跡どおりに指し、Mino のレベルは人が指す序盤を指します。対局後の検討では、どの手で定跡を外れたかがわかります。まず手順を、次に狙いを試してください。