狙い
角交換四間飛車は、角道を止めないまま飛車を6八へ振ります。普通の四間飛車は▲6六歩で角道を止めます。早い角交換は、居飛車に飛車先を破られやすいからです。ここでは、その角交換が作戦そのものです。後手玉が4二に上がるのを待って2二で角を取れば、後手は銀で取り返すしかなく、その銀は自玉の前の壁になります。
左の銀は7七へ上がり、角の代わりに8六を受けて後手の飛車先の歩に備えます。玉は3八の銀の後ろの2八へ歩き、片美濃囲いに収まります。双方が角を持つので、どこに隙があっても角を打ち込まれます。角がいなくなるので角頭を狙われる心配がなく、持久戦になりやすく、居飛車は穴熊に組むのに手数がかかります。
飛車はしばしば8八へ振り直し、向かい飛車のようにも戦います。先手でも後手でも指せ、玉を穴熊に囲う形はレグスペです。藤井猛がこの戦法で2014年に升田幸三賞を受けました。
組み方
双方の指し手を並べてあります。この戦法は片方だけで組める形ではなく、相手がそう応じて初めて成立する戦型なので、先手の手だけを並べても手順としては嘘になります。
一手ずつ進めるか、再生を押してください。
指し手をタップするとその局面に飛びます。盤を選ぶと矢印キーも使えます。
全手順と、その理由
| # | 先手 | 後手 | 狙い |
|---|---|---|---|
| 1 | ▲7六歩 7g7f | △3四歩 3c3d | 角道を開けます。 後手も角道を開け、双方の角道が通ります。 |
| 3 | ▲6八飛 2h6h | △8四歩 8c8d | 角道を開けたまま飛車を振ります。普通の四間飛車なら先に▲6六歩です。 |
| 5 | ▲4八玉 5i4h | △8五歩 8d8e | 玉が右へ歩き始めます。 |
| 7 | ▲3八玉 4h3h | △4二玉 5a4b | 後手玉が4二へ。角交換はこの瞬間です。 |
| 9 | ▲2二角成 8h2b+ | △同銀 3a2b | 2二で角を交換します。 後手は銀で取るしかなく、その銀は自玉の前に立ちます。 |
| 11 | ▲8八銀 7i8h | △3三銀 2b3c | 左の銀が7七を目指します。 |
| 13 | ▲7七銀 8h7g | △6二銀 7a6b | 銀が7七に着いて8六を受けます。普通の四間飛車なら角の役目です。 |
| 15 | ▲2八玉 3h2h | △3二玉 4b3b | 玉が2八に着きます。 |
| 17 | ▲3八銀 3i3h | 片美濃囲いの完成です。玉2八、銀3八、金4九。互いに角を持ったこの局面が基本形です。 |
駒組みのあとの指し方
- ▲7六歩△3四歩のあと、角道を開けたまま飛車を6八へ振ります。
- 玉を右へ寄せます。後手玉が4二に上がったら2二で角を交換し、後手に銀で取らせます。玉が3二まで来るのを待つと、玉で取り返されてしまいます。
- 左の銀を8八から7七へ上げ、8六を受けます。
- 片美濃囲いを完成させます。玉を2八へ、銀を3八へ、金は4九のままです。
- そのあとは後手の形を見て攻め方を選びます。飛車を8八へ振り直して銀を後ろに▲8六歩と突く逆棒銀、7筋での戦い、あるいは四間飛車のまま攻める形です。
気をつけること
- 銀が7七に上がる前の、後手の飛車先の歩交換。2二で角を交換して▲7七角と打てば、8六の飛車と2二の銀に同時に当たります。
- 角打ちです。双方が早くから角を持つので、どの隙も問題になります。玉が2八に着く前に銀を3八へ上がると、2八に角を打たれる隙が残る、とゼロから始める将棋研究所は注意しています。
- 後手が先に△7四歩を突いている形。▲8六歩には7三の桂で応じられます。その場合、出典は▲6六銀と▲7五歩で7筋に攻めを移しています。
- 6八を経ずにいきなり8八へ振ること。それはダイレクト向かい飛車という別の戦型で、△4五角の筋があります。
どんな相手に指すか
居飛車です。出典が挙げる対策は、逆棒銀に対する△7四歩と7三の桂、△6四歩と△6三銀からの腰掛け銀、そして飛車先の歩を8五まで伸ばさずに▲8六歩の突き捨てを消す形です。藤井の本には、腰掛け銀と飛車先保留にそれぞれ一章があります。
穴熊も組めますが、2二で取り返した銀が邪魔になって手数がかかり、角を持ち合った将棋で一方に偏った囲いは打ち込みの隙を残します。
コンピュータ相手に指してみる。
アプリのコンピュータは、レベル9から12が四間飛車と矢倉の二つを定跡どおりに指し、Mino のレベルは人が指す序盤を指します。対局後の検討では、どの手で定跡を外れたかがわかります。まず手順を、次に狙いを試してください。