狙い
居角左美濃急戦は、自分は矢倉に組まずに矢倉に対抗する指し方です。角は初形の位置から動かさず、玉は7九までしか行きません。7八の銀、6九と5八の金の後ろで、角が動いていないぶん一路手前で止まった左美濃です。
ja.wikipedia によると、2015年ごろからコンピュータソフトを使った研究で先手の矢倉に対する速い攻めが見つかり、これもその一つで、アマチュアの間でも人気の急戦になりました。この戦法は、先手の矢倉に対して後手が指す形のほうがよく知られています。このページでは先手番の形を示します。
資料が完全にそろっていて確認できたのがこちらで、見つかった後手番の手順どうしは食い違っているからです。先手は早めに右の銀を4七に上げ、桂を3七に跳ね、4筋と3筋の歩を捨てて桂を4五に跳ねます。2筋の歩を交換したあと、飛車で4四の銀を取ります。左美濃は横からの飛車打ちに強いので、この交換ができるのです。
最後に3三に歩を打って後手の角を閉じ込めます。初手からの手順の資料はゼロから始める将棋研究所の一つだけで、その図は五つの局面で盤と一致します。なお、振り飛車に対する左美濃急戦とは別の戦法です。
組み方
双方の指し手を並べてあります。この戦法は片方だけで組める形ではなく、相手がそう応じて初めて成立する戦型なので、先手の手だけを並べても手順としては嘘になります。
一手ずつ進めるか、再生を押してください。
指し手をタップするとその局面に飛びます。盤を選ぶと矢印キーも使えます。
全手順と、その理由
| # | 先手 | 後手 | 狙い |
|---|---|---|---|
| 1 | ▲7六歩 7g7f | △3四歩 3c3d | 角道を開けます。 後手も角道を開けます。 |
| 3 | ▲2六歩 2g2f | △4四歩 4c4d | 飛車先の歩を突きます。 後手は△4四歩で角道を止めます。 |
| 5 | ▲4八銀 3i4h | △4二銀 3a4b | 右の銀を4八へ。 後手の銀は4二へ。 |
| 7 | ▲2五歩 2f2e | △3三銀 4b3c | 飛車先の歩を2五まで。 後手の△3三銀は矢倉のしるしです。 |
| 9 | ▲4六歩 4g4f | △3二金 4a3b | ▲4六歩と突き、 後手は金を3二へ。 |
| 11 | ▲4七銀 4h4g | △8四歩 8c8d | 早めに右の銀を4七に上げます。 後手は飛車先の歩を突きます。 |
| 13 | ▲7八銀 7i7h | △5二金 6a5b | 左の銀を7八へ。 後手は金を5二へ。 |
| 15 | ▲6八玉 5i6h | △8五歩 8d8e | 玉を6八へ、 後手は8五まで伸ばします。 |
| 17 | ▲7九玉 6h7i | △8六歩 8e8f | 7九で止めます。角を8八に置いたままの左美濃です。 後手は8筋の歩を交換します。△8六歩。 |
| 19 | ▲同歩 8g8f | △同飛 8b8f | 先手が取ります。 後手の飛車が取ります。 |
| 21 | ▲8七歩 P*8g | △8二飛 8f8b | 8七に歩を打ち、飛車に当てます。 後手の飛車は8二に戻ります。 |
| 23 | ▲5八金右 4i5h | △4三金右 5b4c | 右の金を5八へ。囲いの完成です。 後手は金を4三へ。 |
| 25 | ▲3六歩 3g3f | △5四歩 5c5d | 3筋の歩を突きます。 後手は△5四歩。 |
| 27 | ▲3七桂 2i3g | △6二銀 7a6b | 桂を3七へ。 後手の銀は6二へ。 |
| 29 | ▲4五歩 4f4e | △同歩 4d4e | まず4筋の歩を捨てます。 後手が取ります。 |
| 31 | ▲3五歩 3f3e | △同歩 3d3e | 続いて3筋の歩も。 後手が取ります。 |
| 33 | ▲4五桂 3g4e | △4四銀 3c4d | 桂を4五に跳ねます。 後手の銀が4四に上がります。 |
| 35 | ▲2四歩 2e2d | △同歩 2c2d | 飛車先の歩を交換し、 後手が取ります。 |
| 37 | ▲同飛 2h2d | △2三歩 P*2c | 飛車で取り返します。 後手は2三に歩を打ち、飛車に当てます。 |
| 39 | ▲4四飛 2d4d | △同金 4c4d | 飛車で4四の銀を取ります。左美濃は横からの飛車打ちに強いので、飛車を渡せます。 後手の金が取ります。 |
| 41 | ▲3三歩 P*3c | ▲3三歩と打ちます。後手の角が閉じ込められ、資料は先手よしとしています。 |
駒組みのあとの指し方
- 飛車先の歩を2五まで伸ばし、後手が△3三銀で角道を止めたら、▲4六歩と突いて銀を4七に上げます。
- 左美濃に囲います。銀を7八、玉を6八から7九、金を5八へ。角は8八に置いたままです。
- ▲3六歩と突き、桂を3七に跳ねます。
- 4筋、続いて3筋の歩を捨て、桂を4五に跳ねます。
- 2筋の歩を交換して、飛車で4四の銀を取り、3三に歩を打ちます。
気をつけること
- 時機。この攻めは、銀を3三に上げて角道を止めた後手を相手にするものです。ほかの形が相手なら別の将棋になります。
- 横歩。8筋の交換のあと後手の飛車が7六を取ると、▲6六角で帰り道をふさがれ、▲7七銀で攻められて、飛車は戻りにくくなります。
- 飛車切り。左美濃だから成り立つ手です。もっと薄い囲いの玉なら、同じ交換で飛車を打たれる隙ができます。
- 5筋の歩は突かずに置いておきます。歩が5七にあれば、後手側の角から7九の玉への筋は通らない、と ja.wikipedia は指摘しています。
どんな相手に指すか
後手は△4四歩、△3三銀、金を3二と4三に置いて矢倉をめざし、先手が囲う間に8筋の歩を交換します。同じ攻めは後手番でも、玉を3一、角を2二に置いて先手の矢倉に対して指され、2015年以降に有名になったのはこちらの形です。
後手番のこの戦法への先手の対策には、早めに▲2五歩と突いて後手に△3三銀の一手を指させる形や、米長流急戦矢倉があります。
コンピュータ相手に指してみる。
アプリのコンピュータは、レベル9から12が四間飛車と矢倉の二つを定跡どおりに指し、Mino のレベルは人が指す序盤を指します。対局後の検討では、どの手で定跡を外れたかがわかります。まず手順を、次に狙いを試してください。