狙い
ゴキゲン中飛車は、角道を止めない中飛車で、序盤のどこで角交換になってもおかしくありません。基本的には後手番の戦法です。▲7六歩△3四歩▲2六歩のあと、後手は角道を止めずに△5四歩と突き、▲2五歩に△5二飛と振ります。角道を止めるのは必要になってからで、それも5五の歩で止めます。ほかの振り飛車なら4四の歩で止めるところです。
玉は右へ歩いて片美濃囲いに収まります。玉8二、銀7二、金6一で、その横に二枚目の金はいません。5二に飛車がいるからです。近藤正和が升田式石田流と5筋位取り中飛車をもとに作り上げ、2002年に升田幸三賞を受けました。名付け親は将棋世界の編集者だった大崎善生で、近藤がいつもご機嫌に見えたからだといいます。
2019年の『将棋戦法事典100+』の人気順位では一位でした。先手番で指す形は中飛車のページにあります。
組み方
双方の指し手を並べてあります。この戦法は片方だけで組める形ではなく、相手がそう応じて初めて成立する戦型なので、先手の手だけを並べても手順としては嘘になります。
一手ずつ進めるか、再生を押してください。
指し手をタップするとその局面に飛びます。盤を選ぶと矢印キーも使えます。
全手順と、その理由
| # | 先手 | 後手 | 狙い |
|---|---|---|---|
| 1 | ▲7六歩 7g7f | △3四歩 3c3d | 角道を開けます。 後手も角道を開け、双方の角道が通ります。 |
| 3 | ▲2六歩 2g2f | △5四歩 5c5d | 先手は飛車先の歩を突きます。居飛車です。 ゴキゲン中飛車にする一手。角道を開けたまま5筋の歩を突きます。 |
| 5 | ▲2五歩 2f2e | △5二飛 8b5b | 先手は2五へ伸ばします。 飛車を中央へ振ります。これが基本形です。 |
| 7 | ▲4八銀 3i4h | △5五歩 5d5e | 先手の右銀が出発します。本筋の対策、超速▲3七銀です。 5五の歩で中央の位を取ります。以後、後手の角道を止めているのはこの歩です。 |
| 9 | ▲6八玉 5i6h | △3三角 2b3c | 先手玉は6八へ。このあたりにとどまります。 角が3三へ出ます。 |
| 11 | ▲3六歩 3g3f | △6二玉 5a6b | 銀の通り道を作ります。 後手玉が右へ歩き始めます。 |
| 13 | ▲3七銀 4h3g | △7二玉 6b7b | 銀が3七へ。対策の名前になっている一手です。 後手玉がもう一歩進んで7二へ。 |
| 15 | ▲4六銀 3g4f | △3二金 4a3b | 銀が4六に出て、5五の歩を狙います。ja.wikipedia の超速の図はここで止まっています。 後手は左の金を3二へ。 |
| 17 | ▲7八玉 6h7h | △4二銀 3a4b | 先手玉は7八へ。 後手は左の銀を4二へ。 |
| 19 | ▲6八銀 7i6h | △8二玉 7b8b | 先手の左銀が6八へ。 後手玉が8二に着きます。 |
| 21 | ▲5八金右 4i5h | △7二銀 7a7b | 先手の右金が5八へ。 銀を7二へ上がって、後手の片美濃囲いの完成です。玉8二、銀7二、金6一。5二に飛車がいるので、横に二枚目の金はいません。 |
駒組みのあとの指し方
- ▲2六歩には△5四歩と応じ、▲2五歩を見て△5二飛と振ります。角は2二に置いたままです。
- △5五歩と突きます。中央の位を取り、以後はこの歩が自分の角道を止める役になります。
- 右に囲います。玉を6二、7二、8二へ、それから銀を7一から7二へ。6一の金は動かしません。
- 5五の歩を動かして角道をいつ開け直すかを、自分で選びます。出典が示す攻めは、銀と飛車と角を連携させるものです。
気をつけること
- 5五歩より前の▲2四歩。△8八角成▲同銀と角を交換して△3三角と打てば、2四の飛車と8八の銀を同時に狙えます。
- 5五歩のあとの▲2四歩。今度は△3三角が利かず、先に▲5八金右と上がられると▲5八金右超急戦になります。出典はこれを研究勝負の競り合いと呼んでいます。
- 5五歩より前の先手からの角交換、▲2二角成△同銀。丸山ワクチンです。先手は互いに角を持ったゆっくりした将棋を望んでいます。出典の示す応じ方は、美濃囲いに囲ってから飛車を向かい飛車の筋へ回すことです。
- 超速の銀、▲4八銀、▲3七銀、▲4六銀。先手玉は6八に置いたまま、5五の歩を狙ってきます。出典には、自分の左銀を4四へ出して迎え撃つ応じ方もあります。
どんな相手に指すか
居飛車、とくに超速▲3七銀です。星野良生が奨励会員時代に考案し、2011年に升田幸三賞を受けました。このページのために確かめたゴキゲン中飛車の本は二冊とも、この対策に一章を割いています。
ほかに名前のついた対策として、▲5八金右超急戦、丸山ワクチンの角交換、▲7八金型や▲4七銀型の構え、居飛車穴熊、そして先手も三間飛車に振る相振り飛車があります。
コンピュータ相手に指してみる。
アプリのコンピュータは、レベル9から12が四間飛車と矢倉の二つを定跡どおりに指し、Mino のレベルは人が指す序盤を指します。対局後の検討では、どの手で定跡を外れたかがわかります。まず手順を、次に狙いを試してください。