狙い
超速▲3七銀は、ゴキゲン中飛車に対する先手の速い対策です。後手の飛車は5二、歩は5五にいて、その歩が後手自身の角道を止めています。先手は3六に歩を突き、玉を6八に置いたまま、右の銀を4八、3七とまっすぐ4六まで上げます。ここでは後手も銀を4四に出して銀で対抗します。そこで先手は玉を7八へ寄せ、左の銀も6八、7七を通って6六へ出ます。
二枚の銀が5五の歩に当たり、6六の銀の後ろには角が控えます。この歩を失うと、中飛車には攻めの拠点がほとんど残りません。星野良生が奨励会員時代に考案し、2011年に升田幸三賞を受けました。一時はゴキゲン中飛車を選ぶ人が減るほど効果を上げ、その後も双方の研究が続いています。
組み方
双方の指し手を並べてあります。この戦法は片方だけで組める形ではなく、相手がそう応じて初めて成立する戦型なので、先手の手だけを並べても手順としては嘘になります。
初形
一手ずつ進めるか、再生を押してください。
指し手をタップするとその局面に飛びます。盤を選ぶと矢印キーも使えます。
全手順と、その理由
| # | 先手 | 後手 | 狙い |
|---|---|---|---|
| 1 | ▲7六歩 7g7f | △3四歩 3c3d | |
| 3 | ▲2六歩 2g2f | △5四歩 5c5d | 後手が角道を開けたまま5筋の歩を突きます。ゴキゲン中飛車です。 |
| 5 | ▲2五歩 2f2e | △5二飛 8b5b | 飛車を5二へ。基本図です。 |
| 7 | ▲4八銀 3i4h | △5五歩 5d5e | 右の銀を4八へ。 歩が5五へ。ここから、この歩が後手自身の角道を止めます。 |
| 9 | ▲6八玉 5i6h | △3三角 2b3c | 玉は6八で止めます。意図的です。 |
| 11 | ▲3六歩 3g3f | △4二銀 3a4b | 銀のための場所を作ります。 後手は先に囲わず、銀で対抗します。 |
| 13 | ▲3七銀 4h3g | △5三銀 4b5c | 銀が3七へ。戦法の名前になっている一手です。 |
| 15 | ▲4六銀 3g4f | △4四銀 5c4d | 銀が4六に着き、5五を狙います。 後手の銀が4四へ。銀どうしが向かい合います。 |
| 17 | ▲7八玉 6h7h | △6二玉 5a6b | ここで玉を7八へ寄せます。 |
| 19 | ▲6八銀 7i6h | △7二玉 6b7b | 左の銀を6八へ。6八銀型の舟囲いです(玉7八、銀6八、金6九・4九)。 |
| 21 | ▲7七銀 6h7g | △8二玉 7b8b | 左の銀をさらに7七へ。 |
| 23 | ▲6六銀 7g6f | △7二銀 7a7b | 6六へ。二枚の銀が5五を狙い、6六の銀の後ろに角がいます。 後手の片美濃囲いが完成します。 |
| 25 | ▲5八金右 4i5h | △9四歩 9c9d | 右の金を5八へ。 |
| 27 | ▲9六歩 9g9f | △5一飛 5b5a | |
| 29 | ▲3七桂 2i3g | △3二金 4a3b | 桂を3七へ。 |
| 31 | ▲2九飛 2h2i | △6四歩 6c6d | 先に飛車を2九へ引きます。こうしておけば、あとで3七に角を打たれても両取りになりません。 |
| 33 | ▲4五桂 3g4e | 桂が4五に跳ねて、3三の角に当たります。 |
駒組みのあとの指し方
- ゴキゲン中飛車の基本図、後手の飛車5二、歩5五、角3三から始めます。▲3六歩と突き、右の銀を3七、4六へ。玉はひとまず6八のままです。
- 少しだけ囲います。玉を7八へ、左の銀を6八へ。この戦型でよく現れると ja.wikipedia がいう、6八銀型の舟囲いです。
- 左の銀を7七、6六へ進めます。二枚の銀が5五を狙い、6六の銀の後ろに角がいるので、▲5五銀左で歩を取る狙いが生じます。
- 後手が銀を4四に出していれば、5五を攻める数と同じだけ守られています。▲5八金右、▲3七桂、▲2九飛と指し、▲4五桂で角を3三からどかし、角の利きが消えたところで5五を取ります。
気をつけること
- 後手の早い△5六歩。銀がまだ3七にいるうちに中央の歩を交換されたら、▲3三角成と角を交換して6五に角を打ちます。成られるのを後手は防げない、とゼロから始める将棋研究所は示しています。
- 早すぎる▲7八玉。△5六歩から後手の飛車に5六、7六と回られる、と ja.wikipedia は注意しています。
- ▲2九飛より先の▲4五桂。飛車がまだ2八にいると、後手は5五で飛車を捨てて3七に角を打ち、飛車と銀の両取りをかけられます。
- 覚えることの多さ。細部を知らないと居飛車側は戦えない、と ja.wikipedia は書き、shogi-rule.com もアマチュアにはハードルが高いとしています。
どんな相手に指すか
後手番のゴキゲン中飛車です。後手の大きな選択は、先に囲う(玉を6二、7二、8二へ)か、ここでのように銀で対抗するかです。先に囲う形で先手が好成績を上げたので、後手が銀対抗を編み出したとされています。
出典が挙げるほかの応じ方は△3二銀や△3二金、4筋の歩を4四、4五と伸ばす菅井流です。先手のほかの対策もあり、早い角交換の丸山ワクチン、▲5八金右超急戦、居飛車穴熊などです。
コンピュータ相手に指してみる。
アプリのコンピュータは、レベル9から12が四間飛車と矢倉の二つを定跡どおりに指し、Mino のレベルは人が指す序盤を指します。対局後の検討では、どの手で定跡を外れたかがわかります。まず手順を、次に狙いを試してください。