狙い
原始中飛車は、いちばん素朴な中飛車です。いきなり飛車を5八へ振り、5筋の歩を5六へ突き、左の銀を6八、5七、6六と上げてその歩の隣に置きます。角道は止めたまま、玉はたいてい5九から動きません。そこから▲5五歩と仕掛け、銀で取り返してさらに進み、後手玉の筋の5三を狙います。
下の手順のように5三に利く後手の駒が一枚だけなら、銀と飛車で突破し、飛車が5三で成れます。作戦が単純なので受け方もよく知られており、知っている相手にはまず通らない、と出典は口をそろえます。将棋ウォーズは、誰もが一度は指す戦法だとしています。升田幸三は1963年のA級順位戦でこれを採用して勝っており、数少ないプロの実例です。
囲って5五の位を取る指し方は中飛車のページにあります。
組み方
双方の指し手を並べてあります。この戦法は片方だけで組める形ではなく、相手がそう応じて初めて成立する戦型なので、先手の手だけを並べても手順としては嘘になります。
初形
一手ずつ進めるか、再生を押してください。
指し手をタップするとその局面に飛びます。盤を選ぶと矢印キーも使えます。
全手順と、その理由
| # | 先手 | 後手 | 狙い |
|---|---|---|---|
| 1 | ▲5八飛 2h5h | △3四歩 3c3d | 初手から飛車を中央へ振ります。 |
| 3 | ▲5六歩 5g5f | △5四歩 5c5d | 5筋の歩を5六へ。 |
| 5 | ▲6八銀 7i6h | △6二銀 7a6b | 左の銀が動き出します。 |
| 7 | ▲5七銀 6h5g | △8四歩 8c8d | 5七へ。 |
| 9 | ▲6六銀 5g6f | △8五歩 8d8e | 銀が5筋の歩の隣の6六に着きます。玉の位置を除けば、ja.wikipedia の基本図の形です。 |
| 11 | ▲7八金 6i7h | △8六歩 8e8f | 金で角頭を受けます。攻めはこの一手を待てます。 後手が飛車先の歩を交換します。 |
| 13 | ▲同歩 8g8f | △同飛 8b8f | |
| 15 | ▲8七歩 P*8g | △8二飛 8f8b | 8七に歩を打ちます。 |
| 17 | ▲5五歩 5f5e | △同歩 5d5e | 居玉のまま▲5五歩と仕掛けます。 |
| 19 | ▲同銀 6f5e | △3二銀 3a3b | 銀で取り返します。 |
| 21 | ▲5四銀 5e5d | △5三歩 P*5c | 銀はさらに5四へ。後ろの飛車が支えます。 後手が5三に歩を打って受けます。そこに利くのは6二の銀一枚だけです。 |
| 23 | ▲同銀成 5d5c+ | △同銀 6b5c | 銀で取って成ります。 後手が銀で取り返します。 |
| 25 | ▲同飛成 5h5c+ | 攻め二枚に受け一枚。飛車が5三で取って成ります。 |
駒組みのあとの指し方
- 初手で飛車を5八へ、続いて5筋の歩を5六へ。
- 左の銀を6八、5七、そして歩の隣の6六へ上げます。
- 相手の飛車先の歩が8五まで来たら、仕掛ける前に金を7八へ上げて角頭を受けます。
- ▲5五歩と突いて銀で取り返し、さらに5四へ進みます。銀を引いてはいけません。
- 5三に利く相手の駒を数えます。一枚なら5三で取って、飛車で取り返して成ります。二枚なら5四に歩を置いて駒を足します。7七から6五への桂、3七から4五への桂、あるいは9七からの角です。
気をつけること
- 5三に二枚目の受けがある場合。▲5四銀は5三への歩で押し返されるので、5四に歩を置き、駒を足してから行きます。
- 相手の飛車先です。金が7八、玉が5九では、そこからの反撃が早く来ます。ja.wikipedia の受け方は飛車先での継ぎ歩で、将棋ウォーズもまさにそれに弱いとしています。
- 自分の玉です。攻めが止まると囲っていない玉が残り、たいていそれで終わる、と ja.wikipedia は書いています。
どんな相手に指すか
たいていは居飛車です。受け方は定跡として確立しています。受ける側は二枚の銀と右の金を中央近くに置いて5三に複数の駒を利かせ、仕掛けられたら自分の飛車先で反撃します。穴熊や、二枚の銀を並べる形で受ける例も解説ブログにあります。
コンピュータ相手に指してみる。
アプリのコンピュータは、レベル9から12が四間飛車と矢倉の二つを定跡どおりに指し、Mino のレベルは人が指す序盤を指します。対局後の検討では、どの手で定跡を外れたかがわかります。まず手順を、次に狙いを試してください。