狙い
後手番の戦法で、矢倉規広の名がつく振り飛車の矢倉流中飛車とは別のものです。ここでは相矢倉の中で飛車を中央に回します。ja.wikipedia は1980年代後半の後手の代表的な急戦とし、1990年代半ばにはトップ棋士が再び採用したと書いています。△6四歩と突いてその後ろに銀を6三に上げ、飛車を5二に回して5筋の歩を交換します。
先手が5六に歩を打ち直すと、飛車は5一に引きます。銀は5四に据わり、桂は7三に跳ね、持ち歩を生かして△6五歩と仕掛けます。左の銀がすでに7七に上がっている矢倉に対して最も効果があります。その銀は中央を守るために6八へ戻らなければならないからです。
先手の矢倉の五手目が▲7七銀から▲6六歩に変わったのはこの戦法のためだ、と資料は書いています。この手順の先手の受け、角を8八に置いたまま右の銀を5七に上げ、左の銀を6八に引く形は田中寅彦のもので、かつては受かっていると考えられていました。
初手からの手順は一つの資料によるもので、その資料はこの受けに対する攻めを、意外に受けにくいとしています。
組み方
双方の指し手を並べてあります。この戦法は片方だけで組める形ではなく、相手がそう応じて初めて成立する戦型なので、先手の手だけを並べても手順としては嘘になります。
一手ずつ進めるか、再生を押してください。
指し手をタップするとその局面に飛びます。盤を選ぶと矢印キーも使えます。
全手順と、その理由
| # | 先手 | 後手 | 狙い |
|---|---|---|---|
| 1 | ▲7六歩 7g7f | △8四歩 8c8d | 先手が角道を開けます。 飛車先の歩を突きます。 |
| 3 | ▲6八銀 7i6h | △3四歩 3c3d | 先手は左の銀を6八へ。 角道を開けます。 |
| 5 | ▲7七銀 6h7g | △6二銀 7a6b | 先手の銀は7七へ。以前の五手目で、この戦法がとがめる手です。 右の銀を6二へ。 |
| 7 | ▲5六歩 5g5f | △5四歩 5c5d | 先手は5筋の歩を突きます。 5筋の歩を突きます。 |
| 9 | ▲4八銀 3i4h | △4二銀 3a4b | 左の銀を4二へ。 |
| 11 | ▲5八金右 4i5h | △3二金 4a3b | 金を3二へ。 |
| 13 | ▲6六歩 6g6f | △7四歩 7c7d | 先手は▲6六歩で角道を止めます。 7筋の歩を突きます。 |
| 15 | ▲7八金 6i7h | △4一玉 5a4a | 玉を4一へ。 |
| 17 | ▲6九玉 5i6i | △6四歩 6c6d | △6四歩と突き、 |
| 19 | ▲6七金右 5h6g | △6三銀 6b6c | その後ろに右の銀を6三に上げます。 |
| 21 | ▲9六歩 9g9f | △1四歩 1c1d | 端歩を突きます。 |
| 23 | ▲1六歩 1g1f | △5二飛 8b5b | 飛車を中央の5二へ。矢倉中飛車です。 |
| 25 | ▲5七銀 4h5g | △3一玉 4a3a | 先手は右の銀を5七へ。 玉を3一へ。 |
| 27 | ▲7九玉 6i7i | △5五歩 5d5e | 先手の玉は7九へ。 △5五歩で5筋の交換を始めます。 |
| 29 | ▲同歩 5f5e | △同飛 5b5e | 先手が取ります。 飛車で取り返します。 |
| 31 | ▲5六歩 P*5f | △5一飛 5e5a | 先手は5六に歩を打ち、飛車に当てます。 飛車は最下段の5一に引きます。 |
| 33 | ▲2六歩 2g2f | △5四銀 6c5d | 先手は飛車先の歩を突きます。 銀を好位置の5四へ。 |
| 35 | ▲2五歩 2f2e | △7三桂 8a7c | 先手はさらに2五へ。 桂を7三へ。 |
| 37 | ▲6八銀左 7g6h | △6二金 6a6b | 先手は7七の銀を6八に引きます。田中寅彦の受けで、角は8八のまま、もう一枚の銀は5七にいます。 もう一枚の金を6二へ。 |
| 39 | ▲2四歩 2e2d | △同歩 2c2d | 先手は飛車先の歩を交換し、 取ります。 |
| 41 | ▲同飛 2h2d | △2三歩 P*2c | 飛車で取り返します。 △2三歩と打って飛車を追い返します。 |
| 43 | ▲2八飛 2d2h | △6五歩 6d6e | 先手の飛車は2八へ。 △6五歩と仕掛けます。 |
| 45 | ▲同歩 6f6e | △8八角成 2b8h+ | 先手が取ります。 角を交換します。後手の角が8八で取って成ります。 |
| 47 | ▲同玉 7i8h | △4四角 B*4d | 先手の玉が取ります。 △4四角と打ちます。 |
| 49 | ▲7七角 B*7g | △5五歩 P*5e | 先手も▲7七角と打ちます。 △5五歩と打ちます。 |
| 51 | ▲同歩 5f5e | △同銀 5d5e | 先手が取ります。 銀で取り返します。 |
| 53 | ▲5六歩 P*5f | △6六歩 P*6f | 先手は5六に歩を打ち、銀に当てます。 △6六歩と打ちます。 |
| 55 | ▲5五歩 5f5e | △6七歩成 6f6g+ | 先手の歩が5五の銀を取ります。 △6七歩成。6七の金を取って成ります。 |
| 57 | ▲同銀 6h6g | △6五桂 7c6e | 先手の銀が取ります。 △6五桂と跳ねます。資料はこの攻めを意外に受けにくいとしています。 |
駒組みのあとの指し方
- 玉を4一、さらに3一に置いて薄く囲い、△6四歩と突いて右の銀を6三に上げます。
- 飛車を5二に回します。
- 5筋の歩を交換し、飛車を5一に引きます。
- 銀を5四に据え、桂を7三に跳ね、もう一枚の金を6二へ。
- △6五歩と仕掛けて8八で角を交換し、持ち歩を5筋と6筋に使います。
気をつけること
- 角を8八に置いたまま、右の銀を5七、左の銀を6八に引く先手の受け。かつては受かっているとされていました。資料の攻めは△6五歩と角交換から始まります。
- 自玉。急戦矢倉はどれも玉が薄く、攻めが止まると先手の反撃は速くなります。
- 先手の五手目。五手目が▲6六歩で銀が6八にいると、この攻めは威力の多くを失う、と ja.wikipedia は書いています。
- もう一つの作戦。金が5二にいれば、飛車を6一に回して右四間飛車の形にすることもできます。
どんな相手に指すか
先手は守りのために角を8八に置いたまま、右の銀を5七に上げ、7七の銀を6八に引きます。泉正樹はこの形をローストビーフサンド囲いと名づけました。
2010年ごろからは、先手が銀を6八に置いたまま待ち、後手が△5二金と態度を決めてから▲7七銀と上がることが多くなりました。
コンピュータ相手に指してみる。
アプリのコンピュータは、レベル9から12が四間飛車と矢倉の二つを定跡どおりに指し、Mino のレベルは人が指す序盤を指します。対局後の検討では、どの手で定跡を外れたかがわかります。まず手順を、次に狙いを試してください。