狙い
後手番の戦法です。出だしは普通の四間飛車で、4四の歩で角道を止め、飛車を4二へ振り、玉は右へ歩いて8二の美濃囲いに入ります。そこで△4五歩と角道を開け、先手が▲2五歩と突けば、△3三角と受けずに△3五歩と突きます。角を交換したあとは飛車を4四に浮き、さらに3四へ回り、3五と4五の歩の後ろに構えます。四間飛車から組み上げた石田流です。
左の金は角の打ち込みに備えて3二へ、左の銀は2二へ上がってから3一に戻り、4二、4三、5二と遠回りして囲いに加わります。最後の玉、銀、金の配置は銀美濃を180度回したマス目ですが、この囲いを名指しした資料はなく、この名前はここでの仮の呼び名です。アマチュアの立石勝己が考案した戦法で、2004年の将棋大賞で升田幸三賞特別賞を受けました。
居飛車穴熊対策として注目された、と ja.wikipedia は書いています。手順は2026年のマイナビのコラムによるもので、コラムは最後の局面を後手の理想形と呼び、先手番でも同じように指せるとしています。
組み方
双方の指し手を並べてあります。この戦法は片方だけで組める形ではなく、相手がそう応じて初めて成立する戦型なので、先手の手だけを並べても手順としては嘘になります。
一手ずつ進めるか、再生を押してください。
指し手をタップするとその局面に飛びます。盤を選ぶと矢印キーも使えます。
全手順と、その理由
| # | 先手 | 後手 | 狙い |
|---|---|---|---|
| 1 | ▲2六歩 2g2f | △3四歩 3c3d | 先手は飛車先の歩を突きます。居飛車です。 後手は角道を開けます。 |
| 3 | ▲7六歩 7g7f | △4四歩 4c4d | 普通の四間飛車と同じく、4四の歩で角道を止めます。 |
| 5 | ▲4八銀 3i4h | △4二飛 8b4b | 飛車を4二へ振ります。 |
| 7 | ▲6八玉 5i6h | △6二玉 5a6b | 玉が右へ歩き始めます。 |
| 9 | ▲7八玉 6h7h | △7二玉 6b7b | 7二へ。 |
| 11 | ▲5八金右 4i5h | △8二玉 7b8b | さらに8二へ。 |
| 13 | ▲5六歩 5g5f | △7二銀 7a7b | 右の銀を7二へ上げ、囲いができました。左の銀はしばらく3一のままです。 |
| 15 | ▲5七銀 4h5g | △4五歩 4d4e | ここで△4五歩と突いて角道を開けます。 |
| 17 | ▲2五歩 2f2e | △3五歩 3d3e | 先手は飛車先の歩を2五まで伸ばします。 △3三角と受けずに、3筋の歩を3五へ突きます。 |
| 19 | ▲9六歩 9g9f | △9四歩 9c9d | |
| 21 | ▲7七角 8h7g | △3二金 4a3b | 先手は角を7七へ上がります。 左の金を3二へ。角交換のあとの角打ちに備えます。 |
| 23 | ▲8八玉 7h8h | △7七角成 2b7g+ | 後手から角を交換します。 |
| 25 | ▲同桂 8i7g | △2二銀 3a2b | 先手は桂で取り返します。 銀を2二へ。ここでは△3三桂よりこちらがよい、とコラムは書いています。 |
| 27 | ▲7八銀 7i7h | △4四飛 4b4d | 飛車を4四に浮きます。コラムはこれを作戦の骨子と呼んでいます。 |
| 29 | ▲6六歩 6g6f | △3三桂 2a3c | 桂を3三へ。 |
| 31 | ▲8六歩 8g8f | △3一銀 2b3a | 銀を3一に戻し、囲いへの長い道のりを歩き始めます。 |
| 33 | ▲8七銀 7h8g | △4二銀 3a4b | 先手は銀冠に組みます。銀を8七へ。 銀を4二へ。 |
| 35 | ▲7八金 6i7h | △4三銀 4b4c | さらに4三へ。 |
| 37 | ▲6八金右 5h6h | △3四飛 4d3d | 飛車を3四へ回します。3五と4五の歩の後ろの、石田流の位置です。 |
| 39 | ▲2六飛 2h2f | △5二銀 4c5b | 銀が5二に着いて囲いに加わります。玉8二、銀7二・5二、金6一。 |
| 41 | ▲1六歩 1g1f | △1四歩 1c1d | 先手の端歩に、後手も端歩で応じます。 |
| 43 | ▲6五歩 6f6e | △5四歩 5c5d | 5筋の歩を突きます。 |
| 45 | ▲8五歩 8f8e | 先手は▲8五歩で銀冠を完成させます。コラムはこれを後手の理想形と呼んでいます。主導権は後手にあり、先手には有効な手が少ない局面です。 |
駒組みのあとの指し方
- 角道を止めたまま飛車を4二へ振り、玉を8二、右の銀を7二へ。左の銀は3一に置いておきます。
- △4五歩で角道を開けます。先手が▲2五歩と突いたら、△3三角ではなく△3五歩。
- 左の金を3二へ上げ、後手から7七で角を交換し、銀を2二へ。
- 飛車を4四に浮き、桂を3三へ跳ね、銀を3一、4二、4三と回して5二へ、飛車を3四へ。
- 石田流が組めたら、コラムの攻めは△3六歩から3筋で始まります。
気をつけること
- 急戦です。居飛車が急戦で来るなら、普通の四間飛車で指すほうがよいとゼロから始める将棋研究所は勧めています。
- 先手が先に角を交換して▲7七角と打つ手です。これで△4四飛の浮き飛車ができなくなります。コラムの対策は、代わりに金を4三、3四と上げていく形です。
- 先手の2筋の歩交換です。コラムは△2四飛と飛車交換を挑んで応じ、先手はふつう交換に応じません。
- 手数です。銀の遠回りと角交換には手がかかります。それでも成り立つのは、持久戦を選んだ先手に有効な手が少ないからです。
どんな相手に指すか
持久戦の居飛車です。コラムの例は銀冠で、ja.wikipedia は居飛車穴熊への対策として注目されたとしています。コラムが挙げる先手の主な対策は、先に角を交換して▲7七角と打つ形です。
その後、居飛車側が金を最下段に置いたまま戦う指し方を見つけ、プロの採用は減った、と ja.wikipedia は付け加えています。
コンピュータ相手に指してみる。
アプリのコンピュータは、レベル9から12が四間飛車と矢倉の二つを定跡どおりに指し、Mino のレベルは人が指す序盤を指します。対局後の検討では、どの手で定跡を外れたかがわかります。まず手順を、次に狙いを試してください。