狙い
玉頭位取りは、深く囲う代わりに囲いの前の空間を取る作戦です。先手は舟囲いに組み、左の銀を6八に上げ、銀が7七に来る前に歩を7五まで伸ばします。そのあと銀が7七、7六と進んで位を支え、角を7七、玉を8八、金を7八と6七に置きます。これが銀立ち矢倉です。
ja.wikipedia によると、これが組み上がれば後手の美濃囲いは発展しにくく、後手の右の桂にもよい跳ね場所がありません。一方で先手玉は広く、伸びた歩が攻めの足場になります。代償は時間です。手数がかかり、組み上がるまでは四間飛車から銀と5筋の歩で中央を攻められます。
この手順では後手が資料の言う最強の形を選び、先手が正しい手順でそれに応じます。ja.wikipedia によると起源は元禄時代にさかのぼり、振り飛車対策の主力として最も盛んだったのは1970年代で、やがて居飛車穴熊に取って代わられました。
初手から両者の指し手を示す資料は一つで、先手の指し手には日本将棋連盟のコラムの組み方がすべて、手順を変えて含まれています。
組み方
双方の指し手を並べてあります。この戦法は片方だけで組める形ではなく、相手がそう応じて初めて成立する戦型なので、先手の手だけを並べても手順としては嘘になります。
一手ずつ進めるか、再生を押してください。
指し手をタップするとその局面に飛びます。盤を選ぶと矢印キーも使えます。
全手順と、その理由
| # | 先手 | 後手 | 狙い |
|---|---|---|---|
| 1 | ▲7六歩 7g7f | △3四歩 3c3d | 角道を開けます。 後手も角道を開けます。 |
| 3 | ▲2六歩 2g2f | △4四歩 4c4d | 飛車先の歩を突きます。 後手は△4四歩で角道を止めます。 |
| 5 | ▲4八銀 3i4h | △4二飛 8b4b | 右の銀を4八へ。 後手は4二へ振ります。四間飛車です。 |
| 7 | ▲6八玉 5i6h | △9四歩 9c9d | 玉を6八へ。 後手は端歩を突きます。 |
| 9 | ▲9六歩 9g9f | △7二銀 7a7b | 先手も応じます。 後手の銀は7二へ。 |
| 11 | ▲7八玉 6h7h | △3二銀 3a3b | 玉を7八へ。 後手は左の銀を3二へ。 |
| 13 | ▲5八金右 4i5h | △4三銀 3b4c | 右の金を5八へ。舟囲いです。 後手の銀は4三へ。 |
| 15 | ▲5六歩 5g5f | △5二金左 4a5b | 5筋の歩を突きます。 後手は金を5二へ。 |
| 17 | ▲5七銀 4h5g | △6二玉 5a6b | 右の銀を5七へ。 後手の玉は6二へ。 |
| 19 | ▲6八銀上 7i6h | △7一玉 6b7a | 左の銀を6八へ。 後手の玉は7一へ。 |
| 21 | ▲7五歩 7f7e | △6四歩 6c6d | 位を取る▲7五歩。銀が7七に来る前に突きます。銀が7七に上がってからでは、△7四歩で止められます。 後手は△6四歩。 |
| 23 | ▲7七銀 6h7g | △4五歩 4d4e | 銀を7七へ。 後手はすぐに△4五歩と仕掛けます。7七の銀で先手の角道が止まったからです。 |
| 25 | ▲2五歩 2f2e | △3三角 2b3c | 飛車先の歩を2五へ。 後手の角は3三へ。 |
| 27 | ▲7六銀 7g7f | △4四銀 4c4d | 銀を7六に上げ、7五の歩を支えます。 後手の銀は4四へ。 |
| 29 | ▲6六歩 6g6f | △6三金 5b6c | ▲6六歩。 後手は金を6三へ。資料が後手の最強の形とする構えです。 |
| 31 | ▲8六歩 8g8f | △8二玉 7a8b | 8筋の歩を8六に突き、 後手の玉は8二へ。 |
| 33 | ▲8五歩 8f8e | △5四歩 5c5d | さらに8五まで。後手に銀冠を組ませません。 後手は5筋の歩を5四に突きます。 |
| 35 | ▲4八飛 2h4h | △5五歩 5d5e | 金を動かす前に、△5四歩への備えとして飛車を4八へ。 後手は△5五歩と仕掛けます。 |
| 37 | ▲同歩 5f5e | △同銀 4d5e | 先手が取ります。 後手の銀が取り返します。 |
| 39 | ▲5六歩 P*5f | △4四銀 5e4d | 5六に歩を打ち、銀に当てます。 銀は4四に戻ります。 |
| 41 | ▲7七角 8h7g | △5四金 6c5d | 角を7七へ。 後手の金は5四へ。 |
| 43 | ▲8八玉 7h8h | △4一飛 4b4a | 玉が8八に入ります。 後手の飛車は4一へ。 |
| 45 | ▲7八金 6i7h | △5一飛 4a5a | 左の金を7八へ。 後手の飛車は5筋の5一へ。 |
| 47 | ▲6七金右 5h6g | △5五歩 P*5e | 右の金を6七へ。銀立ち矢倉の完成です。 後手は5五に歩を打ちます。 |
| 49 | ▲同歩 5f5e | △同銀 4d5e | 先手が取ります。 後手の銀が取り返します。資料はこの局面を難解としています。 |
駒組みのあとの指し方
- 舟囲いに組みます。玉を7八、右の金を5八、右の銀を5七へ。
- 左の銀を6八に上げ、銀が7七に行く前に▲7五歩と突きます。そうしないと△7四歩で止められます。
- 銀を7七から7六へ進め、▲6六歩と突きます。
- ▲8六歩、▲8五歩と8筋の位も取り、後手に銀冠を組ませません。
- 角を7七、玉を8八、金を7八と6七へ。
気をつけること
- 後手の△5四歩。まず▲4八飛と応じます。ここで金を7八や6七に上げると、△5五歩で中央を突破されます。
- 早めの▲6七金。後手の銀が4四にいると、△5五歩から5六での銀交換を許します。
- 6筋の歩の交換。▲6五歩は相手の形によっては成立しますが、後手の金が5四にいると、後手から△6五歩と突き返されます。
- 振り飛車穴熊。玉が9一に行く相手には位が空振りになり、資料はその場合の▲7五歩を疑問の作戦としています。
どんな相手に指すか
美濃囲いの四間飛車です。後手の最強の応手は、△6四歩と突き、▲7七銀で先手の角道が止まった瞬間に△4五歩と仕掛け、銀を4四、金を6三からさらに5四に置いて、△5五歩で中央をねらう形です。
後手は三間飛車から石田流に組み直すことも、穴熊に囲うこともできます。中飛車に対しては有効だ、と ja.wikipedia は書いています。
コンピュータ相手に指してみる。
アプリのコンピュータは、レベル9から12が四間飛車と矢倉の二つを定跡どおりに指し、Mino のレベルは人が指す序盤を指します。対局後の検討では、どの手で定跡を外れたかがわかります。まず手順を、次に狙いを試してください。