狙い
後手番の戦法です。ふつうの横歩取りでは後手は一歩損のまま指しますが、相横歩取りはそれを拒みます。先手が▲3四飛と横歩を取ったあと、角を交換して飛車で7六の歩を取り、一手損と引き換えに駒の損得を元に戻し、飛車は7八の金に当たります。すぐに飛車が交換され、角が打ち直され、五十手を待たずに終わる将棋もあります。
1997年には島朗が村山聖に四十七手で勝ちました。ja.wikipedia によれば、多くの変化が詰みの近くまで研究されていて、正確に指せば先手が良いとされますが、相横歩を選ぶ権利は後手にあり、研究していない先手はあっという間に負けることもあります。ここの手順は ja.wikipedia の本筋を最後まで並べたものです。
もう一つの資料は先手の二枚目の角打ちまで同じ手順で、その先は別の順番で同じ局面に至ります。
組み方
双方の指し手を並べてあります。この戦法は片方だけで組める形ではなく、相手がそう応じて初めて成立する戦型なので、先手の手だけを並べても手順としては嘘になります。
初形
一手ずつ進めるか、再生を押してください。
指し手をタップするとその局面に飛びます。盤を選ぶと矢印キーも使えます。
全手順と、その理由
| # | 先手 | 後手 | 狙い |
|---|---|---|---|
| 1 | ▲7六歩 7g7f | △3四歩 3c3d | 先手が角道を開けます。 角道を開けます。 |
| 3 | ▲2六歩 2g2f | △8四歩 8c8d | 先手が飛車先の歩を突きます。 飛車先の歩を突きます。 |
| 5 | ▲2五歩 2f2e | △8五歩 8d8e | 先手は▲2五歩。 △8五歩。 |
| 7 | ▲7八金 6i7h | △3二金 4a3b | 先手は▲7八金で角の頭を守ります。 △3二金で、こちらも角の頭を守ります。 |
| 9 | ▲2四歩 2e2d | △同歩 2c2d | 先手が▲2四歩と突いて歩を交換しにきます。 取ります。 |
| 11 | ▲同飛 2h2d | △8六歩 8e8f | 先手は飛車で取り返します。 こちらも8筋の歩を交換します。 |
| 13 | ▲同歩 8g8f | △同飛 8b8f | 先手が取ります。 飛車で取り返します。 |
| 15 | ▲3四飛 2d3d | △8八角成 2b8h+ | 先手は▲3四飛と横歩を取ります。次に▲2二角成と角を交換すれば、金を取るか竜を作る狙いがあります。 まず角を交換します。すぐに△7六飛と取ると、▲2二角成で負けます。 |
| 17 | ▲同銀 7i8h | △7六飛 8f7f | 先手は銀で取ります。 戦法の一手。飛車でも7六の歩を取り、7八の金に当てます。 |
| 19 | ▲7七銀 8h7g | △7四飛 7f7d | 先手の応手で圧倒的に多いのは▲7七銀です。 △7四飛。ここしかありません。△2六飛も△7五飛も悪くなります。 |
| 21 | ▲同飛 3d7d | △同歩 7c7d | 先手が飛車を交換します。 歩で取ります。 |
| 23 | ▲4六角 B*4f | △8二角 B*8b | 先手は▲4六角と打ち、9一の香をねらいます。青野照市の手で、いまはこれが本筋です。 △8二角と打って遮ります。 |
| 25 | ▲同角成 4f8b+ | △同銀 7a8b | 先手が取って成ります。 銀で取ります。 |
| 27 | ▲5五角 B*5e | △8五飛 R*8e | 先手は▲5五角と打ち、8二の銀と1一の香をねらいます。 △8五飛と打ちます。銀を守り、角と8九の桂に当てます。 |
| 29 | ▲8六飛 R*8f | △同飛 8e8f | 大山康晴の手、▲8六飛と打って再び飛車交換を迫ります。 取るしかありません。△5五飛と取ると▲8二飛成で負けます。 |
| 31 | ▲同銀 7g8f | △2八歩 P*2h | 先手は銀で取ります。 △2八歩と打ちます。先手はこれを取りません。▲同銀なら△2五飛がもっと厳しいからです。 |
| 33 | ▲8二角成 5e8b+ | △2九歩成 2h2i+ | 先手の角が8二の銀を取って成ります。 歩が2九の桂を取って成ります。 |
| 35 | ▲4八銀 3i4h | △3八歩 P*3h | 先手は右の銀を4八へ。 さらに△3八歩と打ちます。▲同金なら△2六桂があります。 |
| 37 | ▲8一馬 8b8a | △3九歩成 3h3i+ | 先手の馬が8一の桂を取ります。 △3九歩成。 |
| 39 | ▲同銀 4h3i | △同と 2i3i | 先手が銀で取ります。 2九のと金で取ります。 |
| 41 | ▲同金 4i3i | △5五角 B*5e | 先手が金で取ります。 △5五角と打ちます。 |
| 43 | ▲7二銀 S*7b | △3七角成 5e3g+ | 先手は▲7二銀と打ち、玉の近くで6一の金に当てます。 △3七角成と取って王手。ja.wikipedia は、複雑だが正確に指せば先手が良いとしています。 |
駒組みのあとの指し方
- 先手が横歩を取ったら、角を交換し、飛車で7六の歩を取ります。
- ▲7七銀には、ただ一つの安全な地点の△7四飛で飛車交換を迫ります。
- ▲4六角には△8二角と打って受けます。
- ▲5五角には△8五飛と打ちます。銀を守り、角と8九の桂に当てる手です。
- 再び飛車が交換されたら、△2八歩と△3八歩で先手の右辺を攻めます。
気をつけること
- 7六の歩は角を交換してから取ります。すぐに取ると▲2二角成で負けます。
- △7四飛の代わりの△2六飛や△7五飛は悪くなります。▲1五角や▲2二歩が待っています。
- 先手は▲3六飛と引いて飛車交換を拒むこともでき、そうなるとゆっくりした将棋になります。
- △7六飛には、▲7七銀ではなく▲7七桂と受ける手もあります。2013年の棋聖戦第2局で渡辺明が選んだ、穏やかな指し方です。
どんな相手に指すか
先手は▲7七銀で金を守り、飛車を交換して、後手の9一の香をねらう▲4六角を打ちます。
8二で角を交換し、二枚目の角を▲5五角と打ったあと、△8五飛には大山康晴の▲8六飛で応じ、後手の歩を右辺に打たせておいて、馬と玉の近くに打つ銀で反撃します。
コンピュータ相手に指してみる。
アプリのコンピュータは、レベル9から12が四間飛車と矢倉の二つを定跡どおりに指し、Mino のレベルは人が指す序盤を指します。対局後の検討では、どの手で定跡を外れたかがわかります。まず手順を、次に狙いを試してください。