狙い
1986年、塚田泰明は穏やかな相掛かりを一気の勝負に変えました。後手が腰掛け銀をめざして△6四歩と突くとすぐ、先手は▲2四歩と打ち直します。交換のあと飛車は2四に浮き、横から6四の歩を取ることができ、端歩を突いておけば1筋からも攻められます。
勝又清和の1995年の著書『消えた戦法の謎』は、名前のもとになった一局、1986年の王将リーグでの塚田と中原誠の対局を紹介し、6四の歩と端攻めの二つの狙いを挙げています。変化には王手飛車や早い飛車交換がたくさん出てきます。
塚田はこの戦法で公式戦二十二連勝という当時の記録を作り、その後、谷川浩司が1987年と1991年に対策を見つけました。塚田はのちにこの戦法で升田幸三賞特別賞を受けています。手順はその一局で、後手が飛車を先手の角と、先手が飛車を後手の銀と交換したところまでです。
最初の十一手はおなじみの出だしで、その次の二手の順番は資料になく、ここで補ったものです。資料には△6四歩のあとの局面しかなく、どちらの順でも同じ局面になります。別の資料は、銀を7二に上がる別の手順を示しています。ja.wikipedia によれば、この戦法の考え方はひねり飛車に受け継がれました。
組み方
双方の指し手を並べてあります。この戦法は片方だけで組める形ではなく、相手がそう応じて初めて成立する戦型なので、先手の手だけを並べても手順としては嘘になります。
一手ずつ進めるか、再生を押してください。
指し手をタップするとその局面に飛びます。盤を選ぶと矢印キーも使えます。
全手順と、その理由
| # | 先手 | 後手 | 狙い |
|---|---|---|---|
| 1 | ▲2六歩 2g2f | △8四歩 8c8d | まず飛車先の歩を突きます。 後手も飛車先の歩を突いて相掛かりになります。 |
| 3 | ▲2五歩 2f2e | △8五歩 8d8e | ▲2五歩。 後手は△8五歩。 |
| 5 | ▲7八金 6i7h | △3二金 4a3b | ▲7八金で角の頭を守ります。 後手も△3二金で角の頭を守ります。 |
| 7 | ▲2四歩 2e2d | △同歩 2c2d | ▲2四歩と突いて歩を交換します。 後手が取ります。 |
| 9 | ▲同飛 2h2d | △2三歩 P*2c | 飛車で取り返します。 後手は△2三歩と打って飛車に当てます。 |
| 11 | ▲2六飛 2d2f | △6二銀 7a6b | ▲2六飛と浮きます。 後手は右の銀を6二へ。 |
| 13 | ▲3八銀 3i3h | △6四歩 6c6d | 右の銀を3八へ。この手と一つ前の後手の手の順番はこのサイトのもので、資料には後手の次の手のあとの局面しかありません。 後手は△6四歩。腰掛け銀の準備です。 |
| 15 | ▲2四歩 P*2d | △同歩 2c2d | 戦法の一手、すぐに▲2四歩と打ち直します。 後手が取ります。 |
| 17 | ▲同飛 2f2d | △1四歩 1c1d | 飛車で取り返します。2四の飛車は横から6四の歩をにらんでいます。 後手が端歩を突きます。銀が3八にいる形では、この手と後の△2八歩でこの狙いは防げる、と考えられていました。 |
| 19 | ▲7六歩 7g7f | △8六歩 8e8f | 角道を開けます。 後手が飛車先の歩を交換します。 |
| 21 | ▲同歩 8g8f | △同飛 8b8f | 歩で取ります。 後手は飛車で取り返します。 |
| 23 | ▲1六歩 1g1f | △8二飛 8f8b | 端歩を突きます。端攻めが来ます。 後手は飛車を8二に引きます。 |
| 25 | ▲1五歩 1f1e | △同歩 1d1e | ▲1五歩。 後手が取ります。 |
| 27 | ▲1四歩 P*1d | △2三歩 P*2c | ▲1四歩と打ちます。 後手は△2三歩と打って飛車に当てます。 |
| 29 | ▲6四飛 2d6d | △8八飛成 8b8h+ | ▲6四飛と歩を取り、今度は6二の銀に当てます。 後手は△8八飛成と角を取ります。ここで▲同銀と取ると、△8六角と打たれて両取りになります。 |
| 31 | ▲6二飛成 6d6b+ | △同金 6a6b | そこで▲6二飛成と銀を取ります。 後手が金で取ります。 |
| 33 | ▲8八銀 7i8h | ここで▲8八銀と竜を取ります。どちらが良いか判断が難しい局面だ、と資料は書いています。この将棋は塚田が勝ちました。 |
駒組みのあとの指し方
- 2筋の歩を交換したら飛車を2六に浮き、右の銀を3八に上がります。
- 後手が△6四歩と突いたら▲2四歩と打ち、飛車で取り返します。
- 角道を開けて端歩を突きます。▲1六歩、▲1五歩、そして▲1四歩と打ちます。
- 6四の歩を飛車で取ります。
- 後手が飛車を角と交換してきたら、こちらも飛車を6二の銀と交換します。
気をつけること
- 8六への角打ち。後手の竜をすぐに銀で取ると、△8六角と打たれて玉と飛車の両取りになります。将棋ウォーズは、こうした王手飛車がこの戦法の変化のテーマだとしています。
- △6二銀ではなく△7二銀の形。銀をそこに置き、△3四歩を適切なときに突くことで、谷川は1987年にこの攻めに対抗しました。
- 後手の自陣飛車。1991年に谷川が見つけた対策で、この受けが知られてから戦法は廃れた、と将棋ウォーズは書いています。
どんな相手に指すか
後手は8筋の歩を交換して飛車を8二に引き、端攻めには取って△2三歩と打ち、それから△8八飛成と飛車を角と交換します。その後の対策では、銀を7二に置いて△3四歩で待つか、自陣に飛車を打ちます。
コンピュータ相手に指してみる。
アプリのコンピュータは、レベル9から12が四間飛車と矢倉の二つを定跡どおりに指し、Mino のレベルは人が指す序盤を指します。対局後の検討では、どの手で定跡を外れたかがわかります。まず手順を、次に狙いを試してください。