狙い
後手番の戦法です。棒金は、石田流に対する居飛車の対策です。石田流の飛車は7六に浮いていて引く場所が少ないので、金を前に繰り出して、その飛車と後ろの角を押さえ込みます。金は横に動けるので銀よりこの役目に向いている、と ja.wikipedia は書いています。まず飛車先の歩を8五まで伸ばし、先手に飛車を浮かせます。
そのうえで6一の金を7二、8三と進め、7筋の歩を交換して、8四に横に逃げます。飛車を7二に回し、端攻めを始めます。代償は自陣で、玉の横に金が一枚しか残らないのが危うさだと ja.wikipedia は書いています。先後どちらでも指せますが、見つかった完全な手順はすべて後手番です。
手順は村田智弘の著書をもとにしたゼロから始める将棋研究所の四十六手目までのもので、将棋ルール.com は別の手順で三十八手目に同じ局面に至り、ja.wikipedia の図は三十六手目の局面です。
組み方
双方の指し手を並べてあります。この戦法は片方だけで組める形ではなく、相手がそう応じて初めて成立する戦型なので、先手の手だけを並べても手順としては嘘になります。
一手ずつ進めるか、再生を押してください。
指し手をタップするとその局面に飛びます。盤を選ぶと矢印キーも使えます。
全手順と、その理由
| # | 先手 | 後手 | 狙い |
|---|---|---|---|
| 1 | ▲7六歩 7g7f | △3四歩 3c3d | 先手が角道を開けます。 角道を開けます。 |
| 3 | ▲7五歩 7f7e | △4二玉 5a4b | 先手は▲7五歩。石田流のしるしです。 すぐに△4二玉。これで早石田の飛車の振りには、△8八角成と△4五角があります。 |
| 5 | ▲6六歩 6g6f | △8四歩 8c8d | 先手は▲6六歩で角道を止めます。 飛車先の歩を突きます。 |
| 7 | ▲7八飛 2h7h | △8五歩 8d8e | 先手は飛車を7八に振ります。 飛車先の歩を8五まで伸ばし、先手に飛車を浮かせます。 |
| 9 | ▲7六飛 7h7f | △6二銀 7a6b | 先手の飛車が7六に浮きます。これが標的です。 右の銀を6二へ。 |
| 11 | ▲4八玉 5i4h | △3二玉 4b3b | 先手の玉は4八へ。 玉を3二へ。 |
| 13 | ▲3八玉 4h3h | △6四歩 6c6d | 先手の玉は3八へ。 △6四歩。 |
| 15 | ▲5八金左 6i5h | △6三銀 6b6c | 先手の金は5八へ。 銀を6三へ。7四に利かせます。 |
| 17 | ▲2八玉 3h2h | △4二銀 3a4b | 先手の玉は2八へ。 左の銀を玉の横の4二へ。 |
| 19 | ▲3八銀 3i3h | △1四歩 1c1d | 先手の銀は3八へ。美濃囲いです。 端歩を突きます。 |
| 21 | ▲1六歩 1g1f | △7二金 6a7b | 先手も応じます。 金が出発します。6一から7二へ。 |
| 23 | ▲9六歩 9g9f | △9四歩 9c9d | 先手は9筋の歩を突きます。 端で応じます。 |
| 25 | ▲7七桂 8i7g | △8三金 7b8c | 先手の桂は7七へ。 金は8三に上がります。 |
| 27 | ▲9七角 8h9g | △7四歩 7c7d | 先手の角は9七へ。 第一歩、△7四歩。 |
| 29 | ▲同歩 7e7d | △同金 8c7d | 先手が取ります。 金で取り返し、7筋の歩の交換になります。 |
| 31 | ▲7五歩 P*7e | △8四金 7d8d | 先手は7五に歩を打ち、金に当てます。 金は横の8四に逃げます。ここでこれができるのは金だけです。 |
| 33 | ▲6八銀 7i6h | △7二飛 8b7b | 先手は左の銀を6八へ。 飛車を7二に回し、7筋をねらいます。 |
| 35 | ▲6七銀 6h6g | △9五歩 9d9e | 先手の銀は6七へ。 端攻めの始まり、△9五歩。ja.wikipedia の図はこの局面です。 |
| 37 | ▲同歩 9f9e | △9六歩 P*9f | 先手が取ります。 △9六歩と打ちます。 |
| 39 | ▲8八角 9g8h | △7五金 8d7e | 先手の角は8八に戻ります。 金が飛車の前の7五の歩を取ります。 |
| 41 | ▲9六飛 7f9f | △8六歩 8e8f | 先手の飛車が9六の歩を取ります。 △8六歩。 |
| 43 | ▲同歩 8g8f | △6五歩 6d6e | 先手が取ります。 △6五歩。 |
| 45 | ▲同歩 6f6e | △8七歩 P*8g | 先手が取ります。 △8七歩と打って8八の角に当てます。角が動けば、△7七角成で桂を取ります。資料は後手優勢としています。 |
駒組みのあとの指し方
- 四手目に△4二玉と上がり、飛車先の歩を8四、8五と伸ばして、先手の飛車を7六に浮かせます。
- △6四歩と△6三銀で7筋を押さえ、囲いは簡単にします。玉を3二、銀を4二へ。
- 金を繰り出します。まず7二、それから8三へ。
- △7四歩▲同歩△同金と7筋の歩を交換します。先手が7五に歩を打ったら8四に寄り、飛車を7二に回します。
- △9五歩と△9六歩で端を攻め、金を7五に出して、△8六歩と△6五歩を加えます。
気をつけること
- 四手目の△4二玉。これがないと、先手の早石田の角の筋が成立します。
- 先手の▲6五歩。△同歩▲6四歩と打たれても、その歩は取らずに△7五歩と打ち、先手の角と飛車を自由にさせません。
- △9六歩のあと、先手は飛車で取るべきではありません。香が9五に出て飛車に当たり、その後ろの9七には角がいます。
- ▲7七桂と▲9七角を保留する石田流。先手はいつでも▲6五歩で角を交換できるので、棒金はうまくいきにくくなります。
どんな相手に指すか
美濃囲いの先手の石田流で、飛車は7六、桂は7七、角は9七です。先手は△7四歩に▲7五歩と打って収めるか、▲6五歩で反撃します。
2000年代からは、石田流側が▲7七桂を保留したり、銀を7九に置いて8八の角にひもをつけ、後手の金が8三に来たら▲8五桂と跳べるようにしたりしています。
コンピュータ相手に指してみる。
アプリのコンピュータは、レベル9から12が四間飛車と矢倉の二つを定跡どおりに指し、Mino のレベルは人が指す序盤を指します。対局後の検討では、どの手で定跡を外れたかがわかります。まず手順を、次に狙いを試してください。