組み方
四枚美濃(玉8七、銀7七・7八、金6七・6九、角7九)から始めます。玉が斜めに下がって香の上の9八へ。7八の銀が玉の空けた8七へ上がって冠になり、6九の金がその下の7八へ上がります。7八の金は二枚の銀と6七の金と角を支え、二枚の銀はどちらも冠の前の8六の歩に利いています。
ここでの米長玉は四枚美濃に三手を足した形です。下の十六手目までがその囲いです。
一手ずつ
先手の手だけを、初形から、日本将棋連盟のコラム「玉の囲い方」の手順で並べます。天守閣美濃、五手で四枚美濃、それから玉、銀、金です。
一手ずつ進めるか、再生を押してください。
指し手をタップするとその局面に飛びます。盤を選ぶと矢印キーも使えます。
十九手です。コラムはこれを、玉頭攻めの筋から玉がすでに外れている金銀四枚の銀冠で、心配のない形だとしています。
何に強いか
早逃げです。9八の玉は長い斜めから外れています。終盤の速度で得をするための工夫で、早く寄せた玉はゼットになりやすい、と ja.wikipedia は書いています。端が弱そうに見えても、8七の銀のおかげで小さな傷にとどまる、とも書いています。
どこから崩れるか
手数、香、そして横です。十九手かかり、四枚美濃に組む途中で相手が△6五歩と突いてくることが多い、とコラムは書いています。玉が香の上にいるので香は守りに働かず、横からの攻めにはそれほど強くない、と ja.wikipedia は書いています。最下段の6九にはどの駒も利いていません。
いつ組むか
持久戦で、振り飛車に対する居飛車です。ja.wikipedia によれば、この工夫は米長が大山康晴と戦った将棋から生まれ、2000年に発表された升田幸三賞の受賞につながりました。いまでは居飛車の銀冠系の囲いで玉を香の上(先手なら9八、後手なら1二)に置く形を主に指す名前なので、金銀三枚の端玉銀冠もそう呼ばれます。下の項で取り上げる新米長玉は別のもので、2012年に米長がコンピュータソフトのボンクラーズを相手に二手目に指した△6二玉のことです。
対コンピュータの工夫
米長の名前は、コンピュータソフトを相手に指した一手にもついています。将棋ウォーズは、ソフトに勝つためだけに組む陣形と並べて、これを戦法として認定しています。どちらも上の囲いとは関係ありません。
新米長玉
2012年1月14日の第1回将棋電王戦で、米長邦雄はソフトのボンクラーズと対局し、▲7六歩に二手目△6二玉と指しました。米長自身がこの手を新米長玉と名づけています。
Bonanza の作者の保木邦仁が、Bonanza 系のソフトを序盤のデータから外す手として勧めたもので、百局を超える練習対局のあと、米長はボンクラーズに対する最善の応手だと考えるようになりました。序盤は厚みを築きましたが、中盤の一瞬の緩みからソフトが勝ちました。
将棋ウォーズはいまも戦法として認定していますが、自分で序盤の知識を作る現在のソフトにはもう通用しない、と書く解説もあります。米長はこの名前を、1983年に別の玉の位置(△3三玉)にも使っていました。
稲庭戦法
稲庭戦法は人間を相手にするものではありません。歩を一枚も突かず、その後ろに平らな壁を作り(玉7八、金9八・3八、銀6八・2八、角7九、飛5九か4九)、あとは金か飛車を行ったり来たりさせて、ソフトの時間切れを待ちます。将棋ウォーズは、この戦法の始まりを1997年のコンピュータ同士の対局としています。
ja.wikipedia は、もとになった丸山スペシャルと、持ち時間が秒読みなしの切れ負けだった2010年の第20回世界コンピュータ将棋選手権の一次予選を無敗で通過したソフト「稲庭将棋」について書いています。人間なら崩せる陣形で、ソフトが崩し方を見つけられなかったから通用した、とも ja.wikipedia は書いています。
図は、将棋ウォーズが判定する形を、あるブログが描いたとおりに示したものです。この形に組む手順を示した資料はありません。
盤の上で組んでみる。
アプリのレッスンでは玉を一手ずつ美濃囲いへ歩かせ、検討では、流れが変わったときに組んでいた囲いの名前を示します。