詰みの形
詰みには形がある。
将棋の詰みは、そのほとんどが名前のついた数種類の形のどれかです。名前を覚えると、その形が現れる三手前から見えるようになります。ここに並べたのは、アプリの詰将棋がよりどころにしている七つの形で、どれも実際に出題している問題で示します。
以下はすべて先手番、詰みまでです。詰将棋の約束どおり、盤上にない駒はすべて後手(玉方)の持ち駒とします。解答を開く前に、まず自分で解いてみてください。形が答えであり、答えが形です。
玉の頭に金 頭金 atama-kin
玉の頭に金を打つと、玉の逃げ場が残らず金の利きに入ります。誰もが最初に覚える詰み方で、実戦でいちばん多く出てくる詰み方でもあります。
玉の真上に自分の歩か駒があり、玉のそばに味方の駒がないときは、まずこの形を探してください。頭に打った金は玉の前の三マスと横の二マスを押さえ、金の後ろの駒がひもになって玉には取れません。実戦の攻めはたいていこの形で終わります。先に玉の頭へ歩を打ち(頭の歩)、その歩がどいたマスに金を打つ形がよく出ます。
問題 1手詰。 解答
▲G*2b
玉の腹に金 腹金 hara-kin
同じ金を、今度は横から打ちます。玉が端や自分の駒に押さえつけられているときに決まります。
腹金は頭金を横に倒した形です。端にいる玉や、後ろに自分の駒がある玉は、金の利いていないマスをそもそも使えません。ですから横に打った金一枚で足ります。一段目を横へ逃げた玉を仕留める、いちばん普通の形です。
問題 1手詰。 解答
▲G*8c
玉の尻に金 尻金 shiri-kin
玉の後ろに金を打って、退路を断ちます。ほかの二つより出番は少なく、前ばかり見ていると見落とす形です。
後ろから打った金が玉の引き場所を消し、残りは前にある攻め駒が押さえます。玉が囲いを出て前に進んでおり、味方の駒がまだ後ろに残っているときに現れます。玉の前のマスだけを見ていると、この形は見えません。
問題 3手詰。 解答
▲B*7b △K-8b ▲G*8a
一間離した竜 一間竜 ikken-ryū
竜が玉と一直線に並び、間が一マス空いている形です。そこへ打った合駒は動けなくなり、玉の周りのマスは安全ではなくなります。
一間離した竜は、終盤でいちばん役に立つ形です。間に打った合駒は玉に串刺しにされて動けず、玉は竜のほうへ寄れず、竜は自分の筋と段を全部押さえています。金か銀が一枚あれば、たいていそのまま詰みます。このページから一つだけ覚えるなら、この形です。
問題 7手詰。 解答
▲S*2d △K-1d ▲S*1e △K-2e ▲+R-3e △K-1f ▲+R-2f
玉を送る捨て駒 送りの手筋 okuri no tesuji
玉のそばに、取られると分かっている駒を捨てます。玉はそれを取ることで一マス竜のほうへ動かされ、詰ますための形に入ります。
送りとは、玉を目当ての場所へ送り込むという意味です。玉が取らざるを得ない駒をそばに打ち、その一手で玉を詰みの成立するマス、多くは竜の利きの上へ移します。捨て駒に見えて、中身は相手の玉をこちらが動かす手です。
問題 3手詰。 解答
▲G*2b △Kx2b ▲+R-2c
金の頭に桂 金頭の桂 kin-atama no kei
守りの金が向いているマスに桂を打つ形です。金は真ん前の駒に手を出せない唯一の駒で、桂はそこに触られないまま居座ります。
金は斜め後ろへ引けず、真ん前に居座った駒にも手が出せません。前への一歩はそのマスに届くのですが、そこにいるのが桂なら、桂は後ろから跳んでくる駒ですから金の手には負えない、というわけです。この手筋の眼目は、その桂が金の後ろの二マス、つまりたいてい玉のいるマスに利いていて、金にはそれに答える手がないことです。
問題 3手詰。 解答
▲N*3c △K-3a ▲G*4a
自分の駒に囲まれた玉 雪隠詰 setchin-zume
玉が自分の駒に囲まれ、逃げるマスが一つもない形です。チェスからそのまま持ち越せる唯一の詰み形で、チェス経験者にはいちばん早く通じます。
チェスをやっていた人が知っている唯一の詰み形です。玉は自分の駒に囲まれて動けないので、王手をかけた駒を取る手がなければそれで詰みです。将棋では囲いの中で起こることが多く、玉を守っていたはずの金銀がそのまま壁になります。詰ますのは桂か、突いた歩であることがよくあります。
問題 1手詰。 解答
▲N*2c
どう使うか
- 逃げ道を数える。玉の逃げ場は多くて八マスです。ここに並べた形はどれも、二枚か三枚でその八マスを消す方法にほかなりません。空いているマスが三つ以下の玉を見たら、ちょうどそこを消す形を探してください。
- 決めるのは金、下ごしらえは銀と桂。七つのうち三つは、金の六方向の利きがそのまま詰め手になります。ほかの駒は逃げ場を消すか、玉を詰む場所へ引っ張り出す役です。
- 今日の詰将棋がその練習です。アプリの問題はどれも、ここに並べた形か、二つの組み合わせでできています。解けたときには、アプリがその形の名前を教えます。
形を身につける。
アプリの問題には、棋力に合わせた実戦形の詰みに加えて、今日の詰将棋と、一手詰から順に上がっていく階段があります。解けたときには、その形の名前も出ます。